「あの人達に、助けを求めてる人がついてる。助けてあげなきゃ」

 俺は言われた意味が分からず、首を傾げて聞いた。

「『ついてる』て何が? 人ってどう言う……」

「その人、多分まだ生きてる。早く助けてあげなきゃ……」

 言ってる意味は分からない。でも、ともの目はすごく必死だった。

「えーっと……よく分からんけど、あの3人がその人に何かしたのか?」

「何かした訳じゃないと思う。でも、その人がどこにいるか知ってるはず。早く、助けてあげないと……」

「よし、分かった! 俺が聞いてきてやる」

 正直、よく分かってない。だけどカレーを作る時、あの3人はいなかったと思う。だからきっと、みんなでカレーを作ってる間に、3人でどこかに行って、何かしたんだ。そう推理すると、残りのカレーをかき込むように食べ終え、おかわりするフリをして、3人に近付いた。

「先輩、こんばんは」

 まずは挨拶から。にっこり笑って挨拶して、嫌な顔する奴はまずいない。

「おっす」

「おう」

「なんか用か?」

 俺は3人の側に座ると、いきなり切り出す。

「先輩。さっき、どこ行ってました?」

「どこって……」

「さっきって、いつ?」

「みんなでカレー作ってる時です。先輩達いなかったですよね?」

「いたよ」

「隅っこの方で、ちゃんと手伝ってた」

 カレーを頬ばりながら平然と嘘をつく。だけど、1人は後ろめたいのか何も答えない。

「まあ手伝ったかどうかはどうでもいいんすけど、どこに行ってたんすか? なんか面白いもんでもありましたか?」

 サボった文句を言いに来たんじゃなくて、どこに行ったのかに興味があると知ると、3人はにやっと笑って俺を見た。

「先生にチクんなよ」

「言わないっすよ」

「森の奥に行ってたんだ」

「あれ? 奥に入っちゃダメって、言われてなかったっすか?」

「冒険だよ、冒険。せっかく来たのに、冒険しないでどうすんのさ」

 その気持ちはよく分かる。少しの冒険心は、誰だって持ってると思う。だけど、みんなの迷惑になるなら絶対にしちゃいけないことだとも、思ってる。

「それに、そんなに奥まで行ってない。行ってちゃんと帰って来ただろ」

「そうすっね」

「だけどさ、おもしれえもん見付けたんだぜ」

「面白いもんて、なんすか?」

「小屋だよ。それも、すげーボロっちいの」

「入ってみたんすか?」

「入ってねえよ」

「こいつが、変な声が聞こえるとか言って、ビビって逃げ出したから……」

 そう言って、やせた背の高い人が指刺したのは、がっちり太めの人。

「ビビった訳じゃねえよ! 腹が減ったから、戻ってきただけだ」

 一番強そうに見えて、一番気が弱いのかもしれない。

「なんだ、お前。そのボロ小屋に興味あるか?」

 そう聞いたのは、3人の中で一番小柄だけど、一番威張ってる感じの人。3人の中じゃ、この人がリーダーなんだと思ったから、この人に

「興味あります! 連れて行ってください、先輩!」とお願いした。

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