それから何日か経ったある日。食堂前の自販機の前で話している声が聞こえた。

「なんかさあ、この自販機、取りにくくなったよね?」

「何だろうね? 最近、いっつも引っ掛かって、出しにくいんだよね」

 まさかと思って注視する。

 3台の自販機の真ん中。知らない女子が、取り出し口に手を入れていた。そして、取り出されたスポーツドリンクを掴む、取り出し口から伸びる黒く細い手。

 あいつ、こんな所にまだ居たのか……

 ここに神山を連れてきて追い出してやろうかと少し考えたけど、ここから追い出してもどこかに移動するだけだろうし、やっぱり実害はないから、放って置くことにした。

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