「それじゃーね! だいたい水曜日はコンピュータ室にいるから、気が向いたらいつでも来てね。神山くん、行くわよ」
「はい」
菅原先輩は重厚な一眼レフカメラを首から下げ、神山は手のひらに収まりそうなコンパクトカメラを持って体育館の中に入っていった。
中を覗いて見ると、相手チームもいて、それぞれ分かれて練習していた。その中で、あっくんを見付けるのは簡単だった。バレー部の中でも背は高い方だし、あっくんだけ他のみんなより明るい色のTシャツを着ている。
メーカーやデザインは違っても、他の人は黒に近い色で、あっくんだけ俺のリクエストで水色だ。シミを見付け易いように、薄い色のシャツを着てくれるようにお願いしておいた。1人だけ違う色で大丈夫なのかちょっと心配してたけど、跳ねるような軽い足取りで力強くボールを打っていて、あっくんはとても楽しそうだった。
「山口、見学は2階じゃないのか?」
「あ! うん、2階。行こう」
いつまでも扉の窓から中を覗いている俺を、日山がいぶかしむような顔で見る。俺は誤魔化すように笑うと、日山に続いて階段を上った。
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