「神山、写真部だったろ?」

 授業が終わると、あっくんが面白そうな顔をして聞いてくる。

「うん。写真部に入ってるなんて知らなかった」

 ついでに、撮影会の日に会った背の高い男子が神山だってことも知らなかったけど、そこは黙っておく。

「それでさ、神山と話してたら日山も来たいとか言ってきたんだけど、いいかな?」

「大丈夫だろう。多分、他にも数人観に来る奴がいると思うから」

「そっか」

 公式戦以外観に行くことなんかなかったけど、結構いるのかな?

「でもさあ」

「何?」

「観に来るのはいいが、2階のギャラリーからでいいのか?」

「あ!」

 誰があっくんに生霊をつけていたのかを探るための見学だ。試合が見やすい位置だと、遠くてわからないかもしれない。

「神山達写真部は、写真を撮るから俺達の近くにいるぞ。特に、神山と一緒に来る先輩は慣れていて、選手の邪魔にならない位置でいい写真を撮ってくれるって、先生が言ってた」

「へえー」

 副部長さんがどんな写真を撮るのか、少し興味がわいて、やっぱり写真部に入部しとけばよかったかなと、ちょっとだけ後悔する。

「今からでも、写真部に入部するか?」

 考える俺を見て、あっくんが尋ねる。

「でもなぁ、科学部に入ってるしなぁ……」

 これまでの科学部の活動を思い起こす。

 最初の頃は、手の細菌を培養して調べたり、植物細胞の観察とかちょっと面白かったけど、最近は、文化祭でやるより長く飛ぶ紙飛行機の作り方研究や、より割れにくいシャボン玉液の作り方の研究で、実験はやっていない。試験が近くなると、試験勉強を兼ねた生物の授業のような感じになるから、それもあまり面白くない。それでも、日山は毎週嬉々として参加してるけど。

 科学部は大した活動はしていないし、休んでもあまり支障はないだろう。やろうと思えば、写真部と兼部も出来る。でも、他の部の写真も撮りに行かなきゃいけないのは、大変そうで兼部はためらってしまう。

「それより、なんでそんなにバレーの試合を観たいんだ? ずっと何を探ってんだ? そろそろ、教えてくれてもいいんじゃないか?」

 あっくんの笑顔が怖い。笑っているのに、目が笑っていない。

「…………夜、電話する」

 これ以上、あっくんに内緒にしたまま動くのは無理だと悟った俺は、あっさり観念した。

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