「というのが、昨日までの3日間に起きた出来事」
「そんで、今日もそのマッチ売りの少女に会いに行くのか?」
「うん。ハチが前を歩いてる」
どうやら、マッチ売りの少女に会える時間は決まっているらしい。昨日は午前授業だったため、夕方に出かけることになった。
今日一日姿を見せなかったハチは、あっくんと話している最中に姿を現した。そして昨日までと同じように、俺を先導するように人の間を歩いている。昨日までと違うのは、暇だからという理由であっくんも一緒だということ。正直、かなりありがたい。ハチもマッチ売りの少女も、俺以外の人には見えていない。土曜日で少し人通りが多かった昨日、通りすがりの人に変な視線を向けられた。もしこの行動をまだ続けないといけないとしたら「1人で何かしてる変な高校生がいる」と不審者情報が回りそうで怖い。なんとかこの無限ループを終わらせたいけど、どうやったら終わるのか分からない。もう無視したいけど、ハチがそれを許してくれない。
「この無限ループ、いつ終わるのかな……」
「うーん。定石通りなら、そのマッチ売りの少女が満足するまでじゃね?」
ぽつりと漏らした言葉に、あっくんが返事をくれる。
「どうやったら、満足してくれると思う?」
「さあ。その子に聞いてみるしかねえんじゃね?」
「だよねー……」
はなから答えなんか期待してなかったけど、こうはっきり言われるとちょっと凹む。
「まあ、俺に手伝えることなら手伝ってやるからさ!」
ぽんと肩を叩いて笑ってくれるあっくんが、すごく頼もしく見えた。
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