神山のお母さんにあっくんに話していいか確認すると、あっさりOKが出たので全部話してやった。するとあっくんは、すごく喜んでスマホを取り出すと、神山へのメッセージを打ち込んだ。

『今日はすっげー楽しかったし

 めっちゃ面白かった

 今度はお化け屋敷を満喫しに

 遊びに行ってもいいか?』

 返事はすぐに来た。

『お化け屋敷なら遊園地に行け』

 神山を怒らせたなぁと思っていたら

『期待に応えられない』

 全く怒っていないようだった。

「いやいや、あれだけのお化け屋敷、そうそうないよな」とあっくんは、笑って俺に同意を求めてくる。

 確かに、ごんちゃんが本気を出したら、そこいらのお化け屋敷なんか目じゃないだろう。まあ、お母さんが本気を出させないようにしそうだから、あっくんの望むほどのことはもうないのかもしれないなと考えていると、再び神山からメッセージが来た。

『それでもいいならいつでも来い』

「神山、今日一日ですっげー変わったな」

 思わずぽつりと呟く。

「そうか? もともと無愛想でぶっきらぼうな話し方するけど、世話好きで面倒見のいい面白いやつだぞ」

 あっくんは不思議そうな顔をして言った。

 どうやら変わったのは神山じゃなく、俺の見方だったようだ。

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