「それで。神山の家で何を見た? 何があった?」

 結局、乗り換え駅まで送ってもらった。お母さんに丁寧にお礼を言い、方向の違う日山と別れて電車に乗った。

 最寄駅から出た途端、あっくんが満面の笑みで問い掛けてきた。

「とも、神山の家で何があった? 隠さず言ってみろ!」

「えっとぉ……」

 あっくんに迫られ、ちょっと後退る。

「ほら正直に、包み隠さず」

 もしかして、あっくん怒ってるのかな?

「あの……」

 日山と神山は腹痛でごまかしたけど、あっくんにはバレてると思ってた。きっとすごく心配かけてたんだと思って、口を開きかけると

「神様いたか? 感じたか? どんなだった?」

「は?」

 すごく興奮した様子で尋ねられた。

「神様のいる家ってすげーよな! 幽霊くらいはいそうだなって思ったけどさ、神様は思いもよらなかったぜ。正直、ともの様子見ながら、いつでも逃げられるようにしようと思ってたし、ポルターガイストが起こった時なんか、マジですぐ逃げねえとって考えたけどさ、部屋に戻って来たともが落ち着いてたから、もう少し様子を見ることにしたんだ。あのポルターガイストも神様の仕業だったのか? だとしたらすげー力だよな! でもなんで、ポルターガイスト起こしたんだ?」

「えっと……」

 俺が口ごもっていると、あっくんはさらに早口でまくしたてる。

「神山と違って、おばさんは色んなこと知ってるみたいだったよな。車ん中でしてくれた話、ともに聞かせてたんだろ?」

「そ……そう、かな?」

「帰る前もともになんかしてたし、おばさんと何があったんだ? そもそも、あのおばさん、何者なんだ?」

「えーとー……」

 たくさんのことを聞かれて頭の整理が追いつかない。何をどう説明したらいいんだろう。

「部屋が揺れてた時さ……」

 何故かあっくんの目の輝きが増した気がする。

「びっくりしてちょっと怖かったけど、今思うとすげー体験だよな! 怪奇体験って、俺、初めてだぜ! すげー貴重な体験させてもらったよな! しかも、それをしたのが神様だってのが、さらにすげーよな!」

 いつも俺が変なものを見たり感じたりした時に見せる心配そうな顔とは、全く違う。すっげー楽しそうな顔をしていて、ちょっと複雑だ。

「えっと……ちょっと確認するから、待って」

「おう!」

 あっくんは、誰に何を確認するのかとは聞かなかった。

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