「俺の部屋で休むか?」

 机に突っ伏していたら、神山が声をかけてくれた。

「いや、だいじょ「うん、休みたい!」……」

 余計な心配をかけまいと顔を上げた俺を遮るように、日山が言った。

「日山には聞いていない」

 俺達の冷たい視線に気づかないのか、日山は変わらずニコニコして「神山の部屋が見たい!」と言った。

「なぜ?」

「興味があるから」

 笑顔の日山を、神山は射ち殺しそうな目で見る。

「お前、今日何しに来たか覚えているか?」

「もちろん覚えてるぞ! 試験勉強だ!」

 当たり前のことに胸を張る。

「なら、この部屋でいいだろう。ここが一番何もなくて集中出来る」

「何もなさ過ぎて、落ち着かない。神山の部屋でしたい、勉強会!」

「俺の部屋で?」

「うん! みんな友達の部屋で一緒に勉強するんだろ?」

 突然、話を振られた。

「うーん……まあ、俺とあっくんは、俺の部屋で一緒に勉強したけどさ」

 俺達がそうだからと言って、みんなそうとは言えない。リビングで勉強する人も多い。

「だから勉強会とは、自分の部屋でやるものだ!」

 いや、勉強出来る環境なら、どこでもよくね?

「そうか、分かった」

 なぜか神山は納得して立ち上がった。

「やった! 神山の部屋!」

 何がそんなに嬉しいのか、日山がいそいそと鞄を持って立ち上がる。仕方がなく、俺達も日山にならってリュックを担いだ。

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