「部活、どうしようか……」
ここ、小此木山高校は、何らかのクラブに所属することを推奨している。運動音痴な上に、音楽センスも芸術的センスもなく、頭も良くない。そんな俺に入れそうなクラブ、何があるだろう。
考えながら、鞄を取りに戻るため西校舎1階を歩いていると、ある教室から白い煙が漏れ出ているのを見つけた。
「ちょっと、いっぺんに入れちゃダメ!」
「それは入れるな!」
「人の話を聞け!」
なんだかすごく騒がしい。
何の教室か確認すると、化学室と書いてあった。ドアの前には『科学部』の貼り紙。
ドアが開いていたから、そっと中を覗いて見る。
「なんだ? 見学か?」
「あの、えっと……」
ドアの近くにいた男子に見付かった。先輩だろうけど、俺より背が低い。
「遠慮なく入れ。液体窒素の実験をやっている」
腕を引かれ、中に引きずり込まれた。俺を引き込んだ先輩以外には、男子生徒が4人と男の先生と女の先生がいた。
俺を引き入れた先輩以外の人は、煙の出ているテーブルの周りで、何やら片付けに忙しそうだ。
「君も実験していくといい。楽しいぞ」
「なんでお前が偉そうに言ってんだ!」
テーブルの片付けをしていた1人が、声を荒げて言う。
「いいではないか、先輩。入部希望者だぞ」
先輩に怒られてるのに、平然としているのが不思議だ。俺の腕を離さないのも不思議だけど。
「いや、あの、俺は入部希望じゃ……」
「入らないのか?」
腕を掴む手に力を込め、先輩が泣きそうな顔で聞いてくる。そんな顔されると、断り難い。
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