6※
一服し人の隙間を縫って宛もなく歩いていると、レオパード柄のスカートの彼女と鉢合わせた。そのまま手を引かれクラブハウスを出る。外は外で酔っぱらいの怒鳴り声や笑い声でうるさかった。人を避けながら寂れた赤いネオンが光るラブホテルに入る。
部屋を取りエレベーターに雪崩込むなり、キスをして互いを貪り合った。彼女から漏れる吐息が心拍数を上げていく。
部屋に入るなり彼女をベットに押し倒す。馬乗りになって両腕を一纏めにし片手で押さえつけ、頬に手を滑らせた。
「好きにしていいですよ…。」
彼女が顔を動かし私の中指を口にくわえ込む。恥ずかしそうに睫毛が影を作った。色っぽい目がちらりとこちらを見やる。歯を立てないように唇と舌で優しく唾液をからませてくる。指先にこそばゆさを感じる。彼女は器用に舌と唇を動かし指の付け根から爪先まで何度も舐め上げた。脳裏にミコのスプリットタンが過ぎる。舌と舌の間に挟まれたらどんな感覚なのだろう。想像すると首筋に鳥肌が走る。ぞわぞわとした感覚が身体中を巡る。懺悔と劣情で子宮にぎゅっと力が入り、熱が集まっていくような感覚に身を震わせた。
指を引き抜くと彼女はだらしなく流涎し私の指は透明な液体を纏い怪しくとろけていた。
スカートを捲り上げると肉付きの良い白い太ももが現れた。彼女を見下ろす。視線がかち合うと恥ずかしさのあまり顔を背けようとするが、私の指が腕に食い込み思うように動かれないようだった。下唇を噛んで固く目を閉じている。下着をゆっくりとずらしながら手の甲で秘部に触れた。メイプルシロップのようなとろっとした感触を甲で感じる。彼女の秘部は下着が意味をなさない程に濡れていた。
固く閉じられたまぶたの隙間から一雫の涙が溢れ出し、頬を伝う。こぼれ落ちないように舌で掬い取ると、吐息を漏らした。かすかに震えているようだ。
舌に多く唾液を絡ませ、首筋を這い、耳まで舐め上げる。くぐもった声を上げ、足の爪先に力が入るのが分かった。耳たぶにしゃぶりつき、割れ目に沿って中指を這わせ、膣へと一気に刺し入れた。彼女は堪らず大きな声を上げた。
私が中指を引き抜けば彼女は物欲しそうにこちらを見つめ肩で息をする。入れれば快感に声を上げる。彼女がイクのもイカぬのも全て私の手の中にあると思うと、そのことが堪らなくおかしかった。
粘膜が喜んで私の指を迎え入れ、吸い付いてくる。私が受け入れられたようで興奮する。全身が高揚感に包まれていく。
突然部屋の電話が鳴った。慌てて電話を取ると部屋代が先払いの為今からスタッフが代金を取りに来るとの事だった。
彼女にシャワーを浴びてくるように言いその間に宿泊代を支払った。
スマホを見ると時刻は3時だった。レイから無事ミコを送り届け、自分も家に帰った旨の連絡が入っていた。ミコの薄い体を思い出して身震いをした。陽さんからは何も来ていないようだ。レイの陽さんとやるのかという問いかけが頭をよぎった。
冷蔵庫からビールを取り出して浴びるように飲んだ。もっとおかしくなりたかった。もっと何も分からなくなりたかった。煙草に火を点け忙しなく2、3口吸っては揉み消した。ニコチンを全血中に回すように、大きく息を吸い込んだ。服を脱ぎ捨て風呂場に向かった。
「わぁっ…びっくりしたっ。」
慌てて身を隠そうとするがここに逃げ場はない。シャワーで体を流していたので後ろから抱き締め一緒になって浴びた。
「名前は?」
「ユミ…。あなたは?」
「スー。」
ユミはスーと反芻する。後ろから豊満な胸を優しく愛撫する。片手に収まりきらない程に膨らんだ胸は弾力があり私の手を押し返してくる。
「友達は?」
「んっ…先に…帰って…はっ…。」
耳のヘリを咥えて重みのある乳房を掌で円を描くように撫でた。張りのある肌は手に吸いつき、肌と肌の境界線がなくなっていく。
「ちょ…スーさん…んぅ…立ってられない…。」
「ふーん。」
片手で乳輪を優しく撫でながら陰毛を撫でる。本当に立っていられないかもしれない。太腿が震えている。剣山の上を撫でるようにそっと真ん中の割れ目に中指を滑らせる。シャワーの水流でも流し切れない程そこはぬめっていた。
「濡れやすいの?」
「わかんないっ…。」
「まだ何もしてないよ。」
「うぅ…。」
綺麗にミルクティ色に染め上げられた髪の毛が震える。この日のために準備をしてめかしてきたのかと思うと背徳感が煽られる。
「全部ぐちゃぐちゃだね。」
滑り込ませた中指で下から軽く陰核を撫でる。小さな突起はすでに硬く小さいなりに精一杯の自己主張をしていた。
「あっ…まって…。」
ユミが私の右手を捕まえに来るが、それを利用してその手を握りこんだ。
「ほら、触ってごらん。べちゃべちゃだよ。」
左手の人差し指と中指で大きく小陰唇を開き、膣から溢れ出る蜜をユミの人差し指に掬い取らせる。それを乱暴に陰核に何度も擦り込んだ。瞬間にユミが甘く切ない声を上げた。
「ああ…ぁっんっ…スーさんっ…!」
「なに?ユミがいつもしてるみたいにしてあげただけだよ。」
鏡には一糸纏わぬ姿の少女が映っている。物欲しそうにユミの手が自ら動こうとした時ぱっと手を離した。何が起こったのか分からないという表情が堪らない。だらしなく開かれた口からは不安そうな吐息が盛れる。鏡越しに見つめ合った瞳の奥からは期待が滲み出ていた。
「私まだ体洗ってないから洗ってー。」
中途半端に愛撫をされ続けているユミの体はただただ単純なとどめを欲しているのだろうが、それでもユミは従順に頷いてくれた。健気で大変愉快だった。
備え付けのボディソープを泡立たせてはユミの体に塗っていく。
「え…?スーさんを洗うんですよね?」
「うん。おっぱいにたくさんつけてごらん。」
言われるがまま自分の胸に泡を馴染ませる。
「かわいいね。乳首弄ってみて。」
ユミは一瞬戸惑いながらも痛そうなくらい尖った先端を自分の手で摘みあげる。私からの刺激を求めているのだろうに、こんなところでお預けをされ続けるユミがよく飼い慣らされた犬のようで可哀想で可愛かった。
「うっ…あっ…。」
「あはは。上手。へぇー、そうやって触られるのが好きなんだねー。」
ユミははっとしてみるみる泣きそうな顔になった。失敗を咎められた子どものようだ。少女はあまりにも何もかもが無防備過ぎた。抱き寄せて額にキスをする。
「大丈夫だよ。私しか見てないから。ねぇ。おっぱいで私の背中洗ってくれない?」
そう言って椅子に腰かけ背中を向ける。鏡に映った何も身に纏っていない自分があまりにも無防備に感じた。ああ、このままサスペンスドラマみたいに灰皿で頭をかち割られてもおかしくないくらいの身勝手ぶりだよなぁと
、アルコールの回った頭でぼんやりと考える。頭から血を流す自分が浮かび上がる。最期にまぶたの裏で想うのは一体誰だろう。
そんな私をよそにユミは準備ができるとぎゅっと抱きついてきてくれた。そのまま静かに上下に動く。柔らかな胸が泡を纏ってシルクのような感触になり、それはとてもとても気持ちが良かった。
「こんな感じでしょうか…?」
「うん、上手上手。もっと乳首で洗って欲しいな。」
背中越しにユミの固くなった欲求を感じる。次第に動きは早くなり、耳元に熱い吐息がかかる。
「はっ…あっ…うぅ…。」
「何か勝手に気持ちよくなってないよねー?」
振り返りユミの顎を引き寄せる。眼差しに期待が篭もる。その目を見据えて鼻先にキスをした。
「気持ち良かったよ。ありがとう。あとは自分でやるから先にベットで待ってて。」
不安そうなユミに優しくシャワーをかけて泡を流してやった。ユミを風呂場から出し、手早く自分の用事を済ませた。一人でいると気が狂いそうだった。
戻るとバスローブを着たユミが膝を抱えてベッドにちょこんと座っていた。傍に行き頭部にキスを落とす。恋焦がれたような視線とぶつかり合う。ビールを飲むかと聞くと静かに頷いたので押し倒しながら口移しで飲ませた。
彼女の隣に身を横たえる。首を抱き寄せキスをした。固く握りこまれた手を優しく撫でる。包み込んでみては、時折爪先を指の腹で触れるか触れないかでくすぐると舌の動きが止まり吐息が漏れた。それすら許さず舌を絡め取り擦り合わせる。全身から力が抜けて私に身を委ねたことが分かった時、花園への扉を再びくぐりぬけた。
2、3回絶頂させるとユミはそのまま事切れたように眠りについた。寝顔に煙草の煙をくゆらせる。疼く下半身を睨みつけてもし生えるものが生えていたならもっと人生は簡単だったのかなどと思索する。乱暴にぬめりを拭い犬も食わぬような妄想ごと水流で流した。
身支度を済ませ、ユミの服をクローゼットにかける。濡れたパンツはティッシュやタオルで最善を尽くした。新しいパンツでも買ってやりたい所だがこれ以上変な情を抱く前にさっさと部屋を出た。
日曜日の始発は真っ青な顔をした同年代の男女や登山にでも行くのだろう大きなリュックを背負った人が乗っているだけだった。たまにスーツ姿の中年の男性が乗ってきっては重い体でこれでもかという程座席を沈ませた。
電車に揺られながら恥ずかし気もなく欠伸を垂れ流す。ここには誰かを気に留める余裕のある者はいない。意識と裏腹に強制終了させようとする瞼を必死にこじ開け、最寄り駅を待った。段々と痛くなる頭に嫌気がさす。雲は重たく淀み今にも雨が降り出しそうな空だった。
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