パーティから追放された雑用係はスライム無限増殖スキルに目覚めた！ レベルアップして見返すために永遠にスライムを作って倒してを繰り返したら、世界がスライムだらけに！ だから、責任取って全て駆除します！

第12話 スライム掃除機とは、魔法を帯びた武器、魔導器である。

　タイガはふわりと地面に着地した。

「タイガ君、それは一体……？」

　私はスライムが入っているであろうその不思議な武器を指差した。

「ああ……これですか？　スライム専用クリーナーです」

「え……？」

「これでスライムを吸い込むんです」

　タイガはそれを魔導器と呼んだ。

「魔導器？」

「もう。知らないんですか？　僕より年上のくせに勉強不足ですね」

「……だって」

　言い訳しようにも、本当に勉強不足だったので何も言えなかった。

「魔導器とは魔法の力を帯びた武器です」

「へぇ」

「スライム専用クリーナーは風系と空間系の魔法を帯びています」

　ほら、という感じで彼はスライム専用クリーナーの各部位を指差しながら説明してくれた。

　要はこの魔導器は風魔法でスライムを吸引し、空間魔法で亜空間にスライムを飛ばしてしまうものだった。

「風魔法だけだとダメージしか与えられません。モンスターの動きを一定時間固定しなければ空間魔法で亜空間に飛ばすことは出来ません。だから、僕はこの魔導器を作りました」

　誇らしげに胸を張るタイガ。

　ちょっとかわいい。

「すごい！　すごい！」

　頭なでなでしてあげた。

「子供扱いしないでください！」

　彼は私の手をパシッと払った。

「ごめんごめん。お姉さんは本当に凄いと思ったんだから」

「何もしてないのに年上振るのやめてください」

「ごめん……」

　それ言われると、ちょっとへこんじゃう。

「あ、でも、私、タイマツの火でスライム燃やしたりしたし……それに……」

「さ、行きますよ」

　彼は私と言い合いになりそうになると、無視するなあ。

　……って、この洞窟からどうやって出るんだろう。

　入り口は塞がれちゃったし……

「どうするの？」

　タイガに声を掛けた時、私の脳内に落ち着いた女性の声が響く。

<ランクE　マウ洞窟に巣食うウオータースライム討伐達成。おめでとうございます>

「タイガ君、この声、誰！？」

　驚く私に、彼はこう言う。

「この世界のクエストを統べる……クエストの女神です。祝福してくれているのですよ」

「へぇ……」

　ボススライムを倒したことで、クエストは達成した。

　私にとっては初めてのクエスト達成。

　女神に褒められた。嬉しい！

　そして、また脳内に声が響く。

　今度は凛々しい女性の声。

<メディアはレベルが上がった！　レベル20になった！>

　やった！

　レベルアップはこれまで経験しているから、この声は聞き慣れている。

「この声も、実は女神さんの声なんですか？」

「はい。この世界の冒険者のレベルを統べる……レベルの女神です」

「女神っていっぱいいるんですねー」

「メディアさん、冒険者ならもっと勉強して下さい」

　彼はそう言うと、私に本を手渡した。

　表紙には『攻略本』と書かれていた。

つづく