パーティから追放された雑用係はスライム無限増殖スキルに目覚めた! レベルアップして見返すために永遠にスライムを作って倒してを繰り返したら、世界がスライムだらけに! だから、責任取って全て駆除します!
第2話 勇気を出して初めての告白。「私とXXXして下さい!」
第2話 勇気を出して初めての告白。「私とXXXして下さい!」
「おい! 譲れよ!」
受付の方から叫び声が響く。
人々の視線がそこに集まる。
私を追放したパーティ『社の畜』のメンバーと、レザーアーマーを着た男が向かい合っている。
「一人で、いっぺんに二つもクエストを申し込むんじゃねぇ!」
武闘家の男が詰め寄っている。
レザーアーマーの男は表情一つ変えない。
黒髪に鼻筋が通った凛とした顔立ち。
だけど、まだ幼さがある。
そして、黒い瞳はどこか悲しげだ。
年は私と同じくらいだろうか?
職業は……
珍しい!
雑用係。
「ルール違反はしてないと思うけど」
雑用係の男は驚いた様子も無く応える。
「確かにそうだが、お前のやってることはな……」
言葉に詰まる武闘家の男を押しのけ、ブラウンが雑用係の前に立つ。
静かな声で言い聞かせる様にこう言う。
「ルールの問題じゃない。お前がクエストを独占することで、皆にクエストが行き渡らないのは不公平だと言っているんだ」
周囲がシンとなる。
受付の女があたふたと二人を交互に見ている。
私は成り行きがどうなるか、ドキドキしながら見ていた。
「確かに。あなたの言う通りかもしれない」
雑用係はあっさり折れた。
彼は受付の女と言葉を交わすとその場を離れ、こちらに向かって歩いて来る。
そのまま私の横を通り抜け、扉を開け外に出て行った。
「あら、メディアさん。いらっしゃい」
受付の女、ミラ。
彼女は私がソロになったのを察したのかこう言った。
「あなたにピッタリのクエストがあるわよ。例えば、アイテムの宅配とか……」
「あっ、あのっ……、今の人は?」
「え?」
「今、もめてた人」
「ああ、あの人はタイガ。ソロの冒険者。いつもスライムがらみのクエストばかり選んでるの。さっきもそのことでもめてたの」
ミラ曰く、タイガは『ランクF イスタル村を襲うスライム討伐』、『ランクE マウ洞窟に巣食うウオータースライム討伐』を同時に請け負おうとした。
一つのパーティなり一人が複数のクエストを請け負うのはルール違反ではない。
悪いのは、後から来たブラウン達だ。
彼らも『ランクF イスタル村を襲うスライム討伐』請け負いたかった。
彼らは難癖をつけて、タイガからそれを奪い取った。
「皆、同じギルドに所属してるんだから仲良くして欲しいんだけどね……」
ミラは遠い目をしてそう言った。
ナガズ市に構えるギルド『戦闘共同体』は国内に50つあるギルドの中でもランキング20位くらいの実績を誇っている。
国からランクA、Bクラスの案件を直接発注されることだってある。
ナガズ市に住む冒険者を目指す人間の大半はこのギルドに登録する。
私もその一人だ。
メンバーも多く、皆、それぞれの考えを持っていてギルド内でのいざこざは絶えない。
それにしてもタイガの達観した様な、悲しそうな瞳。
ソロであること。
そして、スライムへの異常な執着心。
その事実だけで、私は彼に何かシンパシーを感じた。
「ありがとうございます!」
「あ、メディア……」
呼び止めるミラを無視して、私はタイガを追い掛けた。
「タイガさん!」
良かった。
まだ、近くにいた。
「何ですか?」
彼の黒くて澄んだ瞳に、私が映り込んでいる。
私は勇気を出してこう言った。
「私とパーティを組んで下さい!」
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます