深夜・アニメ・宇宙

再生ボタンを押すとオープニングが始まる。眩しいぐらいの色を使いながら軽快に剣を持った女の子が駆け抜けて行くそれをどこかワクワクした気持ちで眺める。いわゆる日本の深夜アニメというやつだ。娘が勝手にダウンロードしたものを退屈のあまり見始めたのだがこれがなかなかどうして面白い。こうしてハマってしまった私は他にも娘がダウンロードしていたものを漁っては暇を見つけて見ている。まあこの仕事でこの環境だと暇を見つけるのも一苦労だが。

「よお、何見てんだ?」

同僚が下から声をかけてくる。こいつは職場の中でも気さくで色んなことを知っているのでもしかしたらこのアニメも知っているかもしれない。

「ジャパンのアニメだよ。娘がハマってたんだ。」

「マジか、お前アニメなんて見るんだな!いいよな、アニメ。超クールだよな!」

「ああ、初めて見たけど面白いよ。特にこの宇宙を探検するやつ。こんなロボットがあったら乗って見たいもんだね。」

「最高だな!俺らも楽になるってもんだ!」

「本当にな…。」

そうして窓の外を眺める。青く、美しい我らの星。その命はいつまで続くのだろうか。せめて私が生きている間に宇宙がもっと近いものになって、このタブレットの中の世界みたいに自由に宇宙に旅行できたらいい。娘にも、この景色を見せてやりたいものだ。

「なあ!こっちのアニメは見たか?」

「ああ、それは主人公の感情描写が良かったな。」

「ヒャッホー!わかってるじゃんか!あのシーンがさ…」

ここは、宇宙。地球から飛び出した私たちにしか見えない景色を、多くの人が見ることができたらいいと思う。

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