心・疲労・スイーツ
ちょっとだけ、本当にちょっとだけ疲れちゃったんだ。
何ともないから。大丈夫。すぐに治るから。
人にはキャラがある。それぞれが学校、クラス、友人の間でキャラというものが存在している。その人に適していて、クラスの中での役割が与えられる。従っても従わなくてもそれはついてまわる。私の場合、それがたまたまいじられキャラだっただけだ。きっかけなんて誰も覚えていないだろう。私だってそうだ。普段はそのキャラに甘んじて、中のいい友人を笑わせながら楽しく過ごしていた。はずだった。
たまたま仲のいい友達と遊んでいた時だった。
「夏帆もう帰ってもいいよ〜。」
「何なんだよお前うるさいなw。」
「じゃあ次は夏帆以外で遊ぼっか!w」
いつもなら笑い飛ばせたはずなんだ。これぐらい耐えれるんだ。だって私のキャラだから。私はいじられるのに強くなきゃいけないのに。
不思議と、息が苦しくなった。
その場はいつも通り笑って流した。流せていた、と信じたい。うまく笑えていただろうか。ああ、でも一人だと余計なことを考えちゃうなあ。あの言葉の傷は普段ならすぐ言えるはずなのに今回はずっと引っかかって離れない。どこまでが本当なんだろう。私はどこでまちがえた?一人にはなりたくないなぁ…。でも、もう、無理かもなあ。
横で今日の感想を話す友人たちからの連絡を受け取ったスマホがなる。普段なら自分のいないところで何を言われるか怖くてたまらないから、すぐにスマホをチェックするのだが今日は手が伸びない。電源を消して遠くに放り投げる。もう何も見たくないや。疲れたよ。少し、休みたいな。
気づいたら寝ていたようだ。目頭が熱い。私は泣いていたのか?それすらわからない。頭もガンガンする。スマホはまだ静かなままだ。少し安心してしまう自分がいる。ああ、だめだ。また泣きそうだ。起き上がると机の上に何かが置かれていた。
『お疲れ様』
そう書かれた紙と私の大好きなマカロンが二つ置かれていた。この字はお母さんだろう。見られてたのか。心配かけただろうな。泣いた影響だろう、お腹も空いていたのでマカロンをありがたく頂戴する。口に入れるとほんのりした甘さが口に広がる。人間は単純だ。それだけで心が安らぐようだった。だけど心が緩むと涙腺も緩ものだろうか。また涙が溢れ出した。お母さんからの手紙に雫が垂れる。慌てて拾うと裏にも何か書かれていた。
『あなたはあなたでいい』
ああ、やっぱり人間って単純だ。たった一言で心まで軽くなってしまった。そうだ、私は私。うん、大丈夫。傷が癒えたわけじゃないけど、私はまだ変われる気がする。とりあえず、一度ついた傷を治すために残りのマカロンに手を伸ばした。
落ち着いてから深呼吸をしてスマホを開く。グループとは別に一通の連絡が来ていた。
「ごめん、疲れたよね。何もできなくてごめん。次は私が助ける。」
そのグループでも一番仲が良く、私を大切にしてくれる子だった。また泣いちゃうよ。
「ありがとう、助けて欲しい。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます