第57話 人魚の呪い攻防戦~人魚の独白②~

 ち〇こが揺れるんです。


 いえ、ち〇こを見て目をおおうような生娘きむすめでもありません。こんな若い見た目をしてますが、人間の倍以上は皆生きています。ただ、いくつになっても見たいと思うものではありません。


 まぁ、性欲がないか言われれば嘘になりますが、だからといっておっさんのち〇こを見て欲情したりしません。むしろ不快です。あんなものを見るくらいならば、牛の糞を眺めていた方がマシです。


 そのち〇こが揺れるんです。


 おっさん二匹がおどる度に、あいつらのまたの下で、ち〇こが揺れるんです。全裸で踊っているだけでも頭がおかしいのに、ち〇こ揺らして踊っているのだから、もう、うちには理解不能です。


 うちらは人魚です。人魚は自分の歌に誇りをもっています。この天下で最もきれいな歌をかなでられると。その人魚の歌に合わせてち〇こを揺らすなんて、冒涜ぼうとく以外の何ものでもありません。


 ほんと、不快です!


 正直、二三日夢に出てきそうな気持ちわるさでした。どうしてオスにはあんな不気味なものがついているのでしょうか。これだから神というものは。ろくな仕事をしやせんと改めて大嫌いになりました。


 何より腹が立つのは、このフルチン野郎共に呪いが破られそうになっていることです。


 嘘やろ?


 いや、百歩譲って呪いが破られることはいいとしましょう。やけど、こんなフルチン野郎共に破られるなんて人魚末代までの恥!


 人間ごときにむきになるのは恥ずかしいことやと言いますが、今ここに至っては、人魚の威信いしんにかけて、全力で歌わなければならんと思いました。

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