僕が転移した日

 あ、死んだ。俺はそう思った。

 目の前から迫りくるトラック。もう避けられないと、これに跳ねられ、俺の人生は終わるのだ。

 俺は死を覚悟し、目をつぶった。

 だが、待てど暮らせど衝撃が僕を襲うことはなかった。

「ふむ。面白い」

 代わりに聞こえてきたのは男の声であった。

 目を開けると、そこにトラックはなく、代わりに一人の男が立っていた。

「昭和、天皇?」

 そこに立っていた男は教科書に乗っている写真などでよく見る昭和天皇にそっくりであった。

「なるほど。朕の名前は知っておるか」

 目の前の昭和天皇と思われし人物は満足そうにうなずく。

「ここは、朕とその一部の側近しか入れぬ庭園よ。して、汝。どうやってここに入ってきたのだ?」

「へ?」

 俺は何も答えられない。

 当然だ。俺も何もわからない。なんで俺は今ここに?

「くくく、困惑しているようだな。して、汝もわからぬのであろう。なにせ、突然汝が朕の目の前に現れたのだから」

「今は、西暦何年ですか!」

「西暦か?今は1934年よ」

「1934、年」

 俺は過去に転生、いや、死んでないから転移か。

「なんだね?西暦など聞いて。汝は未来から来たとでも?」

「は?な、なんでそれを……」

 俺はくっそ情けない声をあげる。でも、仕方ないだろう。いきなり未来から来たのか。と聞かれたら。

「その様子では当たりのようだな。何。そんな難しいことではない。いきなり立入禁止の場所に現れ、西暦を聞かれた。そして、汝は見たことないデザインかつ上質な服を着ている。ならば、未来からの来訪者かと思ったのだよ」

 えー、普通だからと言って、未来から来た人間だ、なんて思うか?

 まぁ、いい。相手が未来から来た人間だと理解してくれるのなら話しやすい。

「えぇ、そうですよ。私は未来から来た者ですよ。それ故に当然日本の未来も知っている」

「詳しく聞こうか」

 今までの顔とはうって変わり、真剣な顔をする。

「日本は関東軍の暴走を抑えきれず、盧溝橋事件を発端に、中国との全面戦争に発展します。中国は中華統一戦線を構築し、ばらばらになった中国を一つにまとめあげ、日本に抵抗しました。何度も首都を移転し、英仏や米国から手厚い支援を受けていた中国相手に苦戦し、泥沼の戦争へと移行します。米国などが輸出の制限を行い、日本の資源が枯渇。このままでは、戦争遂行ができなくなると考えた軍上層部は早期決戦を目指し、米国へ宣戦布告。当初は快進撃した日本だったが、次第に米国に圧倒され始め、最終的に敗戦します。核兵器という恐ろしい兵器を持って、広島、長崎が焦土と化しました。戦後、日本は武力を持つことを禁じられ、アメリカの犬へと成り下がりました」

「ドイツは、ドイツはどうなるのだ」

「ドイツもまた、敗戦します。ドイツはポーランドにダンツィヒの割譲を要求。ポーランドはそれを拒否。ドイツがポーランドに宣戦布告したことをきっかけに、ポーランドに独立保障をかけていた英仏との全面戦争に発展。当初ドイツは破竹の勢いて進撃しました。フランスを簡単に降伏へと追い込み、欧州大陸から連合国を叩き出しました。しかし、ドイツの躍進もこれまででした。海軍が脆弱なドイツはイギリスを克服に追い込むことができず、ヒトラーが乱心し、突如ソ連に宣戦布告。ソ連を倒し切ることができず、ノルマンディーに連合国の上陸を許し、東西から挟まれ、緩やかに敗戦します」

「むぅ」

 昭和天皇は難しい顔をし、押し黙る。

「私ならば、私ならば日本を勝利に導かせられます」」

「何?如何にして」

「簡単です。中国と戦争しなければいいのです」

「何を言うか。それを政府ができなかったのであろう」

「えぇ、そうですね。関東軍の暴走を抑えきれませんでした。それはなぜか、政府の対応が後手に回ったからですよ。関東軍が暴走できないように怒涛の展開を見せればいい」

「怒涛の展開?」

「はい。そうです。日本はソ連に対し、戦争布告します。中国に満州の防衛を任せ、主力を欧州に送り、手薄になった東方のまもりを突破。一気に降伏させてしまうのです。ソ連という広大な地を手にすれば、関東軍も黙るだろう。陸軍の仮想敵国が倒せるのだから」

 俺はとあるゲームで日本で初手ソ連をするのが大好きだ。ソ連と戦争したところで、他の大国と戦争になることはないし、大粛清でぼろぼろになったソ連を叩くだけだ。簡単だ。お手頃だ。

「かっかっか!」

 昭和天皇は俺の発言を聞いて、たいそう嬉しそうに笑う。

「朕も軍部について、頭を悩ませていたのだ!その軍部を手玉に取り、あまつさえ、ソ連を落とすと!真に愉快なり。これもまた運命。ご先祖様のお導きか。よかろう。朕は汝にかけよう。うまくやれ」

「ありがたいき幸せ」

 とりあえず、跪いて顔を伏せる。

 多分。こんなでいいはず。大河ではこんなんだった!

 ふふふ、これで俺の目的が完遂できる。


 俺は女の子が好きだ。

 俺は女の子が好きだ。

 俺は女の子が大好きだ。


 貧乳の子が好きだ。

 巨乳の子が好きだ。

 褐色娘が好きだ。

 ムチムチの子が好きだ。

 ギャルの子が好きだ。

 真面目そうな子が好きだ。

 ロリが好きだ。

 熟女が好きだ。

 黄色人種が好きだ。

 黒人が好きだ。

 白人が好きだ。

 

 この地上に存在するすべての女の子が大好きだ。

 

 しかし、この俺の欲望を満たすには現代の世界は狭すぎる。あまりにも。

 普通に、ロリに手出したら犯罪だし、そもそもハーレムすら認められておらず、作れやしない。

 つか、相手もいねぇ。

 しかし、日本が覇権国となれば別だ。

 そもそも日本は一夫多妻制の国だ。

 それを欧州に見習うため、一夫一妻制に変えたのだ。

 だが、日本が覇権国となれば別だ。欧州に見習う必要もないわけで、日本本来の制度に戻してもなんら問題はない。

 というか、現在も一夫多妻制で良いと思うんだけど。

 子育ても二人で大変なら、三人で、三人でも厳しいなら四人で。人が増えれば、やることも分散されて、子育ても楽になりそうなもんだが。

 あ、一夫多妻だけだと、ツイフェミとかいう害虫がうるさそうなので、一妻多夫制にもして。

 というか、天皇が一夫一妻制なの、普通にやばいでしょ。

 だから、跡継ぎ問題なんて出るんだよ。

 たくさん子供作って、その中の優秀な子を天皇にしなきゃ。

 皇族は日本人はないとかの話もあるんだから、天皇だけ子供作りまくればいいのに。

 日本人じゃないんだし!

 なんか、特別感あっていいよね!

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