御前会議(笑)

 1937年 御前会議

 

「日本の資源は陸軍に回すべきだ!中国との関係悪化も懸念されるところ、陸軍の強化は必須である!」

「日本は島国である!海軍に資源を回し、海軍を強化することが重要であろう!」

 陸軍代表である参謀総長と、海軍代表である軍令部総長が激しく言い争う。

「ふむ。軍部の主張としては資源がほしい。ということで間違いないか?」

「え?あ、はい。そうです」

 普段は御前会議において口出ししてくることがない昭和天皇が口を挟んできたことに驚きを覚えながらも答える。

「ふむ。資源を手に入れる簡単な方法が朕にはあるのだよ」

「なぬ!?」

 資源を手に入れる簡単な方法があると言われ、参謀総長と、軍司令部総長が驚きで目を見張る。

「なに。簡単だ。ないのなら奪えばいい。我が国はソ連に対し、宣戦布告する!」

「「んなぁ!」」

 昭和天皇の宣言に参謀総長と軍司令部総長は声を揃えて、変な声を出す。

「ムリだ!」

「無理かどうかはやってみなければわかるまい。そして、ソ連への宣戦布告はすでに決定済みだ。そのための準備として中国と不可侵条約を結んでいるからな」

「な、なんということを……。満州を中国へと返還したというのか!」

「そんなこと朕が認めるわけなかろう。満州の権利を日本に認めさせたまま、中国と不可侵条約を結んだのよ。ソ連侵攻の作戦説明は彼にやってもらう。入ってきてくれ」

 俺は昭和天皇の言葉に合わせて、室内に入る。

 え?どこからだって?いやだな。そんなの決まっているじゃないか。天井から!

『うお!?』

 事前に俺が天井から来ることを知っていた昭和天皇以外全員が驚く。

「では、作戦の説明に入らせていただきます」

 突然の出来事に頭がショートしている間に、作戦説明を始めていく。

「今作戦は主に3つの段階に別れます。まず第一に朝鮮での防衛線の構築。次にレニングラードへの上陸し、橋頭堡を築く。そして最後にモスクワ、スターリングラードなどの東方の重要都市を占領。降伏まで追い込みます。何か質問は?」

「朝鮮での防衛線だと?満州はどうするのだ?」

 平然と参謀総長が、俺に対し質問してくる。

 なんと!あの驚愕から容易く抜け出すとは!

 こやつ、できる……!

「満州の防衛は中国に任せます。しかし、おそらく中国が赤の津波を食い止められるとは到底思えない。ですが、それにより死ぬのはあくまで中国人です。満州がソ連に侵攻され、荒廃すれば我が国における満州への影響力も高められるでしょう」

 しかし、軍司令部総長はまだ混乱から回復しないのか。まったくもって情けない。海軍はエリートだったはずなのに。

「な、なるほど」

 参謀総長が少し引きつった笑みを浮かべ、頷く。

「しかし、問題はソ連に勝てるかどうか」

「それは問題ないと思われます。ソ連は完全に極東からの進撃を予想しており、極東に数多くの師団を配置しております。このためにソ連に対し、日本の脅威を植え付けてきたのですから。東方からの進撃は容易いかと思われます」

「なるほど」

 参謀総長は手を顎に当て、考え込む。

「それならば、なんとかなるかも知れませぬ」

「よし。軍部からの了承も得た。我が大日本帝国はソ連に対し、宣戦布告する。実際に宣戦布告するのは1938年頃となるだろう」

 なんとびっくり。史実では大粛清は1938年頃から1939年頃がピークだったはずなのだが、トロツキー暗殺失敗がよほど堪えたのか、もうすでに数多くの人を粛清。その数はもうすでに史実で粛清した数に匹敵し、これからも更に増えていくだろう。

 俺らが宣戦布告した際には、さぞかしボロボロであろう。

 あ、日本に宣戦布告されそうなのに、大粛清を行うほどスターリンも馬鹿じゃないだろ。って思っている人います?

 いちゃいますかー。

 実はドイツとソ連が不可侵条約を結んだ会議の裏で実はヒトラーとスターリンと俺が直接会談したんだよ。

 そこで、日本の仮想敵国は中国であり、ソ連ではないので、日本がソ連と戦争する気はありません。って断言しておいたんだよね。

 日本がトロツキーと協力しているなど、おそらく日本とソ連の対決を望む連合国の策略でしょう、と。精強なるイギリス情報部ならどこに潜んでいてもおかしくない、と。

 いやー、我ながら天才的だと思うね。

「これで、御前会議は終了とする」

 途中から完全に会議を掌握していた昭和天皇が、会議の終了を宣言し、続々と会議室から出ていく。

 

 そして其の場に残されたのは軍部の二人。

「はえ?なんこれ?」

「あぱー」

「あぁ、そうだ。どうです?一杯」

「いいですな。私もちょうど一杯やりたいところでしてね」

 陸軍、海軍のトップであるふたりが焼けグソ気味に二人仲良く酒を飲んでいるところを見た将校がいるとか、なんとか。



 ■■■■■

 

「はっはっは!見たかね?軍部の連中の驚きに満ちた表情を!あれを見れただけで朕は満足よ」

「ねー」

 俺と昭和天皇はあの日、初めて出会った庭園で互いに盃を重ねていた。

「……零よ。戦争は、早く終わらせられるか?」

「おそらく。対ソ戦はほぼ間違いなく。しかし、第二次世界大戦となってくると、わからない。日本海軍の力を持ってすれば、イギリスの本土上陸も可能だろう。しかし、アメリカが……」

 正直に行って、アメリカに勝つ自信が全くと言っていいほどない。圧倒的な一撃を持って、早期講和に引きずり出す。これが最善の策だが、英仏が倒れ、日独が世界の覇者と成るのをアメリカが許すと思えない。

 アメリカには核がある。

 俺の知る限りの核の知識は教えたが、それを完成させられるかどうか。

「そうか。……できれば戦争など早く終われば良いものを」

「そのために今俺らが、軍人が命をとして戦おうというのだ。ソ連を倒し、アメリカを上回る工業力を手に入れ、戦争に勝利する!対ソ戦はそのためのものだよ」

 「……そうか」

 それにしても、今日御前会議で色々と手伝ってくれたお姉ちゃん、いいケツと胸を持ってて、よかったなぁ。一発してくれないものか。

 ……くれないだろうなぁ。

 いや!俺のハーレムまであと少しだ!

 日本が覇権国となりさえすれば、覇権国のNo2となった俺に女達が群がってくれるだろう!

 俺の幸せの性活のために頑張れ!俺!

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