夢の跡9

『もうちょい待とうかと思ってたけど、なんか、あまりにも辛そうだからさ…』



 気まずそうにバニラが言った。

その横でジャンボも困った顔をして、俺と視線を合わせるために、しゃがみこむ。



『ずっとお前のこともちゃんと待ってたんだよ。だからそんな顔をするな』



ジャンボは彼の、チョコの頭を撫でた。


 どうして。

2人が死んだのは、自分のせいなのに。

もう頭も痛くなければ、胸も苦しくない。

けれど、気がつくと泣きわめいていた。

疑問と謝罪と後悔と、全てが入り交じって、9歳の子供のように泣いた。

彼らはそのひとつひとつには応えず、困ったように笑い、そしてジャンボは俺を抱えて言った。



『家、帰るか』



 肩腕でチョコを抱え、もう片手でバニラと手を繋ぎジャンボはまた歩き出した。

後悔など要らない。

三人で暮らそう、ずっと。

バニラも悲しそうな顔をしながらも、チョコとやっと話せたことが少し嬉しかった。

ぐずるチョコを2人でなだめた。



『もう泣かなくていいんだってば』



 遠くへ彼等は歩いて行った。

ずっと。

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