夢の跡9
『もうちょい待とうかと思ってたけど、なんか、あまりにも辛そうだからさ…』
気まずそうにバニラが言った。
その横でジャンボも困った顔をして、俺と視線を合わせるために、しゃがみこむ。
『ずっとお前のこともちゃんと待ってたんだよ。だからそんな顔をするな』
ジャンボは彼の、チョコの頭を撫でた。
どうして。
2人が死んだのは、自分のせいなのに。
もう頭も痛くなければ、胸も苦しくない。
けれど、気がつくと泣きわめいていた。
疑問と謝罪と後悔と、全てが入り交じって、9歳の子供のように泣いた。
彼らはそのひとつひとつには応えず、困ったように笑い、そしてジャンボは俺を抱えて言った。
『家、帰るか』
肩腕でチョコを抱え、もう片手でバニラと手を繋ぎジャンボはまた歩き出した。
後悔など要らない。
三人で暮らそう、ずっと。
バニラも悲しそうな顔をしながらも、チョコとやっと話せたことが少し嬉しかった。
ぐずるチョコを2人でなだめた。
『もう泣かなくていいんだってば』
遠くへ彼等は歩いて行った。
ずっと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます