夢の跡4

 足のむくままに歩いていく。

このバス停からの道を歩いたことがある。そう思ったが、肝心の記憶はまだ砂嵐だ。

なにか、1人ではなかった。そんな気がした。

誰かとこの道を歩いたのだ。


 でも、誰と。

あの時、水の底に沈んだ記憶は、どうしても戻ってこない。

きっと進めば何かわかる。

そう自分に言い聞かせ歩いた。


 人通りのある道に出た。

食料品や服などが道の端にずらっと並べられて、活気のある道だった。

子供向けのおもちゃや、おやつの露店もあった。


あのおもちゃ、ねだって買ってもらったな。


 突然、断片が頭に浮かぶ。

幼い自分の手の中で風車がカラカラと回っていた。

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