第11話:写真に写る。

心霊写真が撮れたと噂になったことがあった。

修学旅行でプロのカメラマンが取ってくれた写真の一覧が廊下の壁に張り出されていた。

その中に、心霊写真があると噂になった。

学校中にそのうわさは広がり、関係のない学年の生徒までもが壁に張り出された写真を見に集まった。

その写真は、数人の生徒が海を背景にポーズを決めている写真で、とても楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

そんな写真の一人の男の子、Aの肩から手が出ているのです。

ですが、その写真の真相はすぐわかりました。

「この腕、俺なんだよね~」

同じ写真に写っているBくんがクラスのみんなに自慢しました。

なんでも、心霊写真を撮ろうと話し合い、カメラマンさんにも協力してもらってうまく腕が写るようにして写真を撮ったのだろうです。

「でもみんな全然気づかないんだもんな、ばっかみたい」

そう言って笑うBくんに、皆は困った顔を返しました。

「なんだよ、なにかあるのかよ」

Bくんが不機嫌そうに近くにいたCくんに問いかけました。

Cくんはいうか言うまいか迷いつつ、ゆっくりとB君に尋ねました。

「でも、Bくんの腕、2本ちゃんと写ってるよ?」

Bくんの肩からしっかりと腕が出ていたのですから、誰もBくんのいたずらだなんて思わなかったのです。

両手でピースしているB君。その片方の腕が心霊現象なのか、A君の肩から飛び出した腕が心霊現象なのか。

結局、真相は分からないまま。

結構な数の人がその写真を買ったみたいで、翌年から購入する写真は自分が写っている写真に限る、なんていう決まりができたそうです。

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