第4話:手形

修学旅行といえば、とCさんが話してくれた。

Cさんの高校は修学旅行に京都へ行ったらしい。

清水寺など有名な観光地を回って、市内のホテルに宿泊した。

ホテルで泊まって、次の日。朝食会場に向かうととても騒がしい。

聞いてみると、とある女子生徒たちが朝起きると部屋の窓にべったりと、無数の手形がついていたそうだ。

朝、カーテンを開けると、窓を覆うように一面にべたべたべたべたと、大きさの違う手形があった。

それを見た女子生徒たちは絶叫。朝食時間が近かったこともあり、急いで部屋を飛び出してきたらしい。

そのことを大声で話していると、私も見た、私達の部屋もそうだった、と騒ぎになった。

それで、朝食会場が騒がしかったらしい。

色々な生徒に話を聞けば女子のほとんどが手形がついていたと証言した。

中には自分が起きる前に同室の子がいたずらしたのだろうと手形を消そうとした生徒もいたそうだが、手形は消えなかった。

ホテルの、4階~5階が生徒たちの止まった階で、昨日部屋についたときには、手形なんてなかったとみんな証言している。

特に男子生徒たちはそんな話をしていなかったので、女子生徒を狙った幽霊の仕業だったのだろうか。

結局騒ぎは先生たちが静かにしろと一喝して、朝食が始まったためうやむやになって終わった。

朝食が終わって、部屋に戻りたがらない生徒も多かったがスケジュールが詰まっているからと先生に追い返されてしまったらしい。

特に、そのあと何かあったわけでもない。修学旅行中に事故もなかったし、けがをした生徒もいなかった。

特に曰くのあるホテルでもない、修学旅行生を良く受け入れるようなホテルでの、話。

私に話をしてくれたCさんの部屋には手形がなかったらしく、Cさんはそのことをとても悔しがっていた。

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