古い型のワクチンのほうが万能かも

 現在世界中でビオンテック&ファイザーと、モデルナのmRNAワクチンの奪い合いが起こっています。

 これは有効性が95%、94.1%とひじょうに高いことが原因です。


 しかし、もしかするとこの最新式のmRNAワクチンは変異に対応できないのではないか。

 その疑いが出ています。

 俗称インド株のデルタ型に対して有効性が70%〜55%ほどにまで低下するからです。

 しかしこれだけの有効性が依然としてあるのなら、mRNAワクチンの優位性はまだ高いでしょう。


 ですが、本当にmRNAワクチンが最も有効なワクチンなのか。

 疑問を感じたのです。


 そこで数あるワクチンの製法を考えたとき、実はmRNAワクチンは変異株に弱いのは事実であるとわかったのです。


 まず今話題のmRNAワクチンですが、当初の新型コロナウイルスの遺伝情報を利用して、スパイク部分のタンパク質だけを再現して体内の抗体を高めるように設計されています。


 次にアストラゼネカが開発したウイルスベクターワクチンですが、基本は同じでスパイク部分のタンパク質の遺伝情報をアデノウイルスに入れて体内に届けるタイプです。直接体内に注射するよりも手間がかかるぶんだけ有効性は落ちます。だいたい70%ほどとされています。


 mRNAよりも古いワクチンにアンジェスが作製しているプラスミドDNAワクチンがあります。これは遺伝子の二重螺旋の双方にウイルスの情報を書き込み、その遺伝子をプラスミドの技術で組み上げて注射し、体内で遺伝子がバラけて大量の遺伝情報が抗体を喚起する仕組みです。こちらは正確な有効性は発表されていませんが、だいたいウイルスベクター同様70%ほどではないかとされています。

 一見二重螺旋のどちらにも遺伝情報を操作でき、それを球体に組み上げるプラスミドの技術で作られたDNAワクチンのほうが最先端だと思いますよね。

 しかしDNAワクチンは二重螺旋であるがために、体内で細胞に取り込まれる可能性があるのです。そうなると疑似ウイルスである遺伝子が体内に取り込まれるため、疑似感染が発生する可能性が高いのです。

 つまり予防のために打つワクチンなのに、症状が発生する可能性が高いのです。


 そして中国シノバックや日本のKMバイオロジクスが用いている不活化ワクチンがあります。これは病原体である新型コロナウイルスを「不活化」つまり毒性を低減させて製剤化しています。古くからあるワクチンなのですが、時間がかかります。まず病原体のウイルスを特定すること、それを不活化すること、それを培養することという段階を経なければ製剤化まで持ってこれないからです。今回は新型コロナウイルスの存在は早々に明らかとなりましたので、これはクリアしています。そして「不活化」ですが、これが実は最も時間がかかります。ウイルスにどんな刺激を与えれば「不活化」するのか、世の中で知っている研究者などいません。すべて一から試していくしかないのです。

 にもかかわらず中国シノバックは、新型コロナウイルスが発見されてから数カ月という短さで中国国民に接種を開始しています。これは事前に「不活化ワクチン」を持っていた可能性が高いのです。そのくらい時間をすっ飛ばしています。

 有効性は60%〜55%くらいで、なんとかワクチンとして認証されるぎりぎりのラインです。そして変異株とくにインド株にも対応できず、南米チリのように中国から不活化ワクチンを輸入して接種した国は、ことごとく変異株の猛威にさらされています。



 で、今回のお題なのですが、私は「不活化ワクチンこそ新型コロナウイルスに対する牛痘ギュウトウになりうる」と考えています。

 ですが条件もあります。

 まずなにを「不活化」するかです。

 「病原性の不活化」はするべきですが、「感染性の不活化」はするべきではありません。しかし中国シノバック製は「感染性の不活化」をしているため、変異株に弱いのです。

 なぜ「感染性の不活化」をしてはならないのか。

 それは「ワクチン自体が変異する」余地がなくなるからです。

 どういうことかというと、「感染性」があれば体内で弱毒ウイルスが抗体を作っていっても、大量のコピーを作る際に変異を起こしてくれるからです。

 つまり「新変異株でも先回りして抗体が作れる」可能性があります。

 古いワクチンである「不活化ワクチン」には可能性がある、ということです。


 現在VLPTジャパンが「レプリコンワクチン」を開発中です。これは少量のワクチンを接種すると、体内でワクチンが増殖して抗体を作り続ける、という自己増殖ワクチンと言えます。

 つまり「新型コロナウイルス」とは別の形で「増殖する」わけです。

 うまくいけば上記したように「新変異株でも先回りして抗体が作れる」可能性もあります。

 ということは、現在最も「牛痘ギュウトウ」に近いワクチンは、「レプリコンワクチン」ではないか、と考えられます。


 現在「レプリコンワクチン」はまだ開発中で治験には入っていませんので、今からこれを打つわけにもいきません。

 これが治験をクリアして完成するまで、他のワクチンで新型コロナウイルスに感染しないよう防除する必要はあります。

 そのうえで、有効性をしっかり検証したのち「レプリコンワクチン」に期待するのが正しいワクチンのあり方かもしれません。


 「レプリコンワクチン」は現代の「牛痘ギュウトウ」となりうるのか。

 情報を追いたいと想います。

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