ひとりが8、9人にうつすインド株。ヒントはここに?

 この連載、思いつきで始めたのですが、今まで閉じていなかったのに気づきませんでした。


 しかし、ある種の光明が見えたニュースがあったので、それをご紹介します。


 アメリカのCDC「疾病対策センター」の研究によると、当初の新型コロナウイルスはひとりがふたりにうつす「通常の風邪」と同程度の感染伝播性しかありませんでした。

 ゆえに人の移動を制限すれば、容易に終息できたのです。


 ですが通称「インド株」と呼ばれるデルタ型は、感染伝播性が「水痘スイトウ」俗に言う「水ぼうそう」と同程度のひとりが8、9人にうつしている可能性がある、と発表しました。



 ここで重要なのは、インド株は当初の新型コロナウイルスとは「遺伝子が13個しか違わない」という点です。


 つまりこの13個の中に「重篤化を引き起こすもの」「子どもでも感染しやすくなったもの」「アジア人の免疫を回避するもの」「現在のワクチンを無効化するもの」「すべての変異株の中で最も優位となるもの」の大きく5つの作用が含まれています。


 本連載で「牛痘ギュウトウ」に言及しましたが、これにいちばん近いのが、本来なら怖いはずの「インド株」なのです。


 なぜなら「すべての変異株の中で最も優位となるもの」が入っているので、この遺伝子さえ突き止められれば、人体に無害で新型コロナウイルスがどんなに変異しても防除効果のあるワクチンを開発できる可能性があるからです。

 まさしく「遺伝子操作による牛痘ギュウトウ」が現実味を帯びてきました。


 現在最も進んでいるワクチンがファイザー&ビオンテックとモデルナのmRNAタイプで、遺伝情報を持つRNAを人体に直接接種して抗体を作成するものです。

 この作製技術を用いれば、人体に無害でインド株並みの優位性を持った抗体を作り出せる可能性があります。


 ただし、これはmRNAワクチンを作製している会社が気づかなければ、まったく生かされずに終わる可能性もあります。


 日本では第一三共がmRNAワクチンに挑んでいます。

 もし第一三共が、この「人体に無害でインド株並みの優位性を持った抗体」を作り出せるRNAの作製に成功すれば、すべてのワクチンはそこに集約される可能性もあるのです。


 変異した13個のどれがそれを可能にするのか。

 これは他の変異株との比較をしなければならないため、私が「これ!」と言うわけにもいきません。

 ですが、お宝はインド株の変異遺伝子にあることは指摘できます。


 新型コロナウイルスに対する「牛痘ギュウトウワクチン」とも呼ぶべきものを作製すれば、全世界が救われるでしょう。


 できれば日本メーカーの第一三共に頑張ってもらいたいのですが、別にファイザー&ビオンテックでも、モデルナでもかまいません。

 理論を実現させる会社が現れれば、不毛なワクチン論争にも終止符が打てるはずです。


 ただ、問題があるとすれば、すでになんらかのワクチンを打っている人には、いくら「無害」に設定しても発熱やせきなどの症状が抗体で喚起されるので、その点だけが難点かもしれません。



 いずれにせよ、今回CDCが発表した感染伝播性の報告は、新型ワクチンを開発するうえで大きな分岐点となりうるものです。

 必要以上に怖がらず、ただ「絶対にもらわない」防備を整えて、新型ワクチンを待ちましょう。



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