ターニングポイント

次の日の準備に、織田達の姿は無かった。


本人達は用事だとグループでは言っていたが、どうやら羽田さんに怒られて拗ねたらし

い。彼女が笑いながら教えてくれた。


それを聞いて僕も笑ってしまった。

その日の準備は彼らがいない分よく進んだ。



と言いたいところだったがそうもいかなかった。何しろ1週間も無断で休んでいたため、周りからの質問攻めに遭っていたのだ。


結局今日1日は皆んなへの説明にほとんどの時間を費やした。


作業も終わりみんなが教室で喋っている時、僕はいつものように1人でいた。




その時、僕に話しかけて来た人達がいた。

天野あまのさんと波多野はたのさんだ。どうやら前々から話したいと思っていたらしく、タイミングを見計らっていたそうだ。


僕に話しかけてくるなんて珍しい。

心の中で僕は思った。


しかし、結愛が2人と仲良く話しているのを見て、なるほどな、と納得した。


僕は2人と少しずつ喋るようになり、帰る時には連絡先を交換することになった。さすが、陽キャ女子は距離を詰めるスピードが速いと僕は心の中で舌を巻いた。


みんなが解散した後、僕と結愛は2人で帰ることになった。


「久しぶりだね、2人で帰るの。」

「そうだね。1週間寝てたから。」


「ねぇ、今日話してた2人と仲良くなれそう?」

結愛がふと聞いてきた。


「うーん、どうかな。」

僕は苦笑いしながら答えた。


「えー、出来たら仲良くして欲しいな。私もあの2人と仲良いし。」

「本当に仲良くなって欲しいの?」

「え、もしかして愛斗君が他の女子と仲良くしてるの見て私が嫉妬するとか思ってた?笑」

「いや、思ってないけど。」

「その顔は思ってた顔だね。」


彼女が満面の笑みを浮かべながら僕を見てきた。僕は苦笑いしか出来なかった。


「大丈夫だよ、さすがにそんなのじゃ嫉妬しないし、大体私達付き合ってもないんだから。」


彼女は少し冷静に言った。


「そうだよね、ごめん。」

「いや、全然謝ることじゃないから。でも、連絡先交換してたのはちょっと嫉妬しちゃうかな〜。」

「え、やっぱ嫉妬してるじゃん。」

「嫉妬して何か悪い?」

「急に開き直ってるんじゃないよ。」

「だって別に嫉妬したっていいでしょ。」



「愛の形は人それぞれ違うでしょ?」



「いや、まぁ、そうだけど。」


少し沈黙が流れる。この時間が僕には永遠のように感じられた。


「あ、もうT字路だね。じゃあね、また明日。」

彼女は笑顔で言った。

「そうだね、また明日。」

僕も精一杯の笑顔で答えた。


花火大会まであと5日。


出会いは、運命を変える。

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