マンションに暮らす成人男性が、ベランダの鉢植えで小さな赤い実を育てるお話。
寓話的というか詩的というか、不思議で独特な雰囲気のお話です。
どこか寓話的な情景に詩的な文章。どことなく七五調を感じさせる節回しに加え、体言止めの使われ方が非常に印象的で、なんだか詩を読んでいるかのような独特のリズム感がありました。
作品紹介にもある通り、作品全体に通底するある種のグロテスクさのようなものが好きです。
小さなベランダの生態系に見る、さまざまな生命の何か生々しさのようなもの。生と死のオーダーが小さいからこそ浮き立つ何か。
綺麗事だけではない命のありようを感じさせてくれる、詩的な雰囲気の作品でした。