第15話

悠馬とのメールやり取りを終え携帯をポケットにしまう。悠馬に教えてもらった通り服装をほめようと思い、勇気を出して茜さんの方を向く。なんということだろう、茜さんは完全に眠ってしまっていた。そう上手くはいかないよな。はぁ


 


 遊園地から一番近い駅に着き、僕と茜さんは新幹線から降りる。ホームを出ると遊園地が見えるはずなのだが...。あれ、なんでこんなに人いるんだ?しかもほとんどカップルじゃないか。みなさん遊園地は家族で行くものです。


「信也君!到着しましたね!」


新幹線の中で眠って体力が回復したからだろうか、茜さんのテンションがさらに高くなっている。その回復力僕も欲しいな。


「そうだな、時間無駄するの勿体ないから早く行こうか」


「はい!」


茜さんは本当に明るくて元気で可愛いなぁ、なんて思いながら遊園地の入り口まで向かう。入り口付近に着くとそこにはたくさんの人で行列ができていた。列の長さを言葉で表すなら人気ラーメン屋の開店待ち行列の約5倍ほどだ。なるほど、意味わからない。


「すごい行列だな」


ここの遊園地の開園時間は朝八時からである。時計を確認すると七時五十八分となかなかちょうどいい時間だな。列がなければの話だが。


「信也君もしかしてチケットに書いてあった説明読んでないですか? 」


「説明文?」


鞄からチケットを取り出し説明文を確認する。『有名遊園地  特別招待券   こちらの券を受付の方にご提示していただきますと、待ち時間なく入場可能となります』と書いてある。なんだこの夢のようなチケット、すご過ぎないか?


「このチケットすごいな、すぐに入場できるじゃないか」


「そうなんです!たくさん遊べますね!もしかして信也君説明文読んでなかったですか? 」


「ああ、もらってそのまま放置してた」


「(読んでないのはラッキーです…だから今日一緒に来てくれたんですね)」


茜さんがボソッと何かを呟く。


「どうした? 」


「何でもないです!」


「お、おう。そうか」


こういうところは通常運転なんだな。まあ何でもないなら気にしなくていいか。それよりも校長先生は遊園地の管理者と何かつながっているのだろうか。顔広そうだなぁ…あれ?このチケット裏面も何か書いてあるな。えーと、


「信也君、早く行きましょう」


茜さんに腕を引っ張られる。


「まって茜さん、まだ裏面読めて―」


「いいから行きましょう!」


僕は裏面を読むことができないまま入り口まで腕を引っ張られた。入り口で確認しようとするも、茜さんにひょいっとチケットをとられて受付の人に渡されてしまった。読むことができないまま入園するのであった。


受付の人がチケットの裏面を見て、驚いて直ぐにどこかへ連絡をしていたのがものすごく気になる。チケットの裏にいったい何が書いてあったのだろうか…


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