第11話
幸い数学科室から校長室までそれほど距離がないのですぐにたどり着くことができた。残り時間8分。時間的にはかなりギリギリだが、間に合うのだろうか。校長室の扉は他の教室とは違い奥に押すドアノブタイプの扉だ。僕たちはアイコンタクトを取り扉を開ける。
「失礼します」
校長先生から「どうぞ」といわれ、僕たちは部屋の中に入る。校長室にしてはかなり簡素な部屋に思える。校長先生は見た目はすごく若く20代後半くらいだろう。
「よくきたね、君たち。君たちのことを待っていたよ」
僕たちのことを待っていた?どういうことだ
「まあそこのソファにでも座ってくれ」
僕たちはソファに腰を下ろす。
「時間も無くなってきているし、率直に言わせてもらうよ」
「問題をですか? 」
「ああ」
先生の返答を聞き、僕たちはごくりと固い唾をのむ。緊張した空気が流れる。
「あまり緊張しなくても大丈夫だよ。問題といってもそんな難問を出すわけではない。君たちは『はい』か『いいえ』で答えてくれるだけでいい」
問題ではない?『はい』か『いいえ』で答えろって怪しさマックスじゃないか。
「大したことではないのだけれど、もしよかったら来年の生徒会役員になってもらえないかな」
生徒会役員になる?なぜそんなことを頼むのだろうか。生徒会役員はそんな簡単に決めていいものなのか。
「なぜ私たちにその話をするのか教えていただけませんか」
彩花さんが尋ねる。校長先生はそんな質問をされることを予想してたかのように淡々と語り始める。
「君たちの情報はすでに私に届いていてね、是非とも我が校の生徒会役員になってもらえないかと思ったわけだよ。もう少しわかるように言うなら『一問も間違えずにここまでたどり着くことのできた、君たちのような優秀な生徒に役員になってもらいたい』ということだよ」
校長先生の言いたいことはなんとなくわかった。ただ―
「―もし仮に私たちが校長先生の『問題』を断ったらどうなるのでしょうか」
同じことを考えていたのか彩花さんが質問する。表情を一切変えずに校長先生は答える
「悲しいけどその時は諦めるよ。ただし、君たちは今回のレクリエーションで優勝することはできない」
どういうことだ?『質問』の返答によって優勝できなくなる?この人はいったい何がしたいのだろう。僕と同様三人とも困惑している。
「なら一つここで君たちに質問しよう。君たちはこのレクリエーションで疑問に感じることは何かなかったかい? 」
レクリエーション自体が疑問だが、確かに疑問に思うことの一つに心当たりがある。それは―
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