第10話

そうして僕たちは次の教室へと向かった。気になる人がいるであろうスカートの中の話だが、スパッツを履いていてパンツが見えることはなかった。そりゃそうだな。


 


  次に着いたのは国語科室だ。国語科室にはあまり特徴的なことはなく、あっさりとクリアしてしまった。問題としては


『次の漢字の読みを答えなさい』


という感じになっていて難易度は低く問題数も5問とかなり少なかった。国語科の教師三人いるのだが三人とも男だった。男というより、おじいちゃんというのが正しいだろう。おそらく問題を作成するのがめんどくさかったのかもしれない。


僕たちは社会科室、化学室へと向かったが、これまた国語の時と同様大した問題ではなかった。社会科室は名前を書かされるだけだった。生徒の名前を早く覚えたいから名前を書かせているらしい。化学室では僕と萌々で協力して解いたら、あっけなく終わってしまった。化学室で茜さんが少し不機嫌だったのは理科がわからなかったからだろうか。


 そんな感じでやや少し余裕の時間を持ち最後である数学室に着くことができた。ここでは僕たちの班を除いて他に大体5班くらいいた。


「人多いわね。私こういう人混みは苦手だから早く問題解いてしまいましょう」


そういうと彩花は足早に数学科室に入り問題用紙をもらってきた。どんだけ人混み嫌いなんだよ。突然だけど読者のみんなに聞きたいことがある。人混みが嫌いな人はなんで人混みが嫌いなのかわかるだろうか。なぜならそう考える人たちは『人ゴミ嫌い』と思っているからだろう。


「くだらないこと考えてる暇があるなら早く問題を解きなさい」


ぐうの音も出ない。それと心を読むのをやめてもらえないだろうか。


「すまん、問題を見せてもらってもいいか? 」


『|x|+2|x-1|=x+3の解を二つ求めよ 』


と問題用紙に書かれていた。え、大学入試問題?おかしくないか。問題を見てみんな固まってしまっている。


他の班の人たちも固まっている。


「えーと、みなさん分かりますか? 」


「あたし数学無理ー」


「私は少し時間をもらえるなら解けそうだわ」


分からないと困っていた二人とは違った返答をした彩花さんの発言に目を丸くする茜さんと萌々。僕も驚いた。確かに時間がもらえるなら解けそうだが、まさか彩花さんまで解けるとは。


「僕も時間をもらえるなら解けそうだ」


そう言って僕と彩花さんは問題を解き始める。


「「できた」」


問題を解くこと三分後、無事に答えを出すことができた。確認はしたが確実にあっているかは正直分からない。


「すごいです、信也君、彩花ちゃん!」


「うん、あかねっちの言う通り二人ともすごいよ 」


二人が賞賛してくれる。これは好感度上がったのでは?


「出来たのだからさっさと見せて、校長室行きましょう。残り15分くらいよ」


いつの間にそんな時間になってたのか、急がないとまずいな。これまでの科目は協力してなんとかこなしてこれたけど、最後の校長先生からの問題が予想できない。


「そうだな、急ごう」


僕たちは数学教師に問題用紙を渡しすぐに教室をでようとしていると先生は驚いた顔をして尋ねてきた。


「これ、本当にお前たちが解いたのか?」


当り前だろう、まあ高校でまだ習ってない内容の大学入試問題を数分で解いて提出されたら誰だって疑うだろう。


「もちろんです、こっちに途中式もあります。どうぞ」


「…分かった、疑って悪かったな。短時間で正解を出せたのはお前たちの班だけだから疑ってしまった。正解だ」


こうして僕たちは六カ所を無事に制覇することができた。教室を出ようとしたときにまだ残っている班の誰かが「すごい」「頭いい」などと言っているのを聞いて心の中ではしゃいでしまった。最高。


―残り時間10分

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る