第8話

みんなそんなにスタイルいいのに運動が得意なのか?その運動神経を分けてほしい。


「申し訳ない。でも三人も運動神経のいい人がいるのはラッキーだ。幸いにも近くに体育館もあることだし早く向かおう」


「そうね、反応が思ってたのと違って面白くいけれどそうしましょう」


事実なのだから反論できないのは仕方がない。


「あたし思ったんだけど、一回一回終わるたびにどこ行くか話し合うのは時間の無駄じゃない? 行く場所先に決めちゃおうよ」


それもそうだ。萌々が真面目に発言しているのは正直驚きだが間違っていない。


「そうだな、なら、それぞれの得意科目を生かしていくのはどうだろう」


僕は提案を出す。


「得意な科目を言えばいいのね。私は理科以外なら特に苦手はないわ」


「私は理科と英語以外ならまあまあですけど大丈夫です! 」


「あたしは国語、理科、社会科目ならできる」


この感じならみんなで科目ごとにカバーしあうことはできそうだ。僕は技術系科目以外ならできると思っている。もちろん言わないけど。


「なら教室が近い順に周っても大丈夫そうだな。数学科の近くに校長室があるから最後に校長室に向かうのはどうだろう」


「まあそうなるわね、時間が勿体ないから急ぎましょう」


「ですね! 」


僕たちは体育館に向かった。


 


   体育館につくとそこには僕たちのグループ以外に一班いた。テストの内容が気になるところだが…あれ、あいつ悠馬じゃないか。試験のはずなのになぜあいつはテニスラケットを持っているんだ?まさかテニスの実技試験とか言わないよな。


「始め!」


体育教師の掛け声のとともにデジタル式のタイマーが動き出す。タイマーは二分に設定されているようだ。


「第一問       サッカーは一チーム十二人によって構成されている。○か×か。」


悠馬のいる場所の先を見てみると大きく○と×が書かれた板がある。なるほど、正しいと思う方に球を打つのか。ボールはセルフで投げて打つらしい。これ俺には不向きじゃないか。


「残り10秒!」


悠馬は次々と問題を解き的確に板にボールを当てていく。問題解答数は今のところ15問程度だろうか?運動神経もいいなあいつは。悠馬がボールを打つたびにどこから来たかわからない女子たちがキャーキャー騒いでいる。納得できない。かっこいいけども。


「体育と保健体育をまぜてのテストなのね!あたしの得意分野かも。テニスよテニス」


目を輝かせながら僕たちに熱烈に語ってくる。


「テニスと言ったらあたししかいなくない?」


すごい自信だ。萌々さんのテニス愛に圧倒され二人に助け舟を求めると…二人も苦笑いしながら僕の方を見ている。アイコンタクトをとり


「だな、俺も萌々でいいと思うぞ」


「そうね、適任だわ」


「そうですね」


僕たち三人はそう答えるのであった。そんなやり取りしていた間に試験は終了したらしい。


「今回のチームの得点は18問中18問全問正解のため合格基準の14問以上を上回るため、試験は合格とする」


試験監督である体育教師の声が体育館中に響く。合格点は14点か。試験の終わった悠馬が俺に気付く。


「お、久しぶりだな。って言っても今朝ぶりだけどな」


爽やかな雰囲気。やっぱり本物のイケメンなんだなと気づかされる。


「よっ、悠馬すごいな。打ってる時のフォームすごい綺麗だったぞ。危うく僕もキャーキャー言いそうになった」


「それは誉め言葉として受け取っていいのかわからないけど、ありがとう」


話を続けようとすると体育教師の声がまた響いて、会話を中断させる。


「次の班早く位置につけ」


萌々が位置につく。


「時間制限があるからそろそろ次の教室向かうな。またあとで」


「おう、またあとで」


会話を終わらせ自分の班に戻る。萌々はうきうきしてラケットを構えてい姿を僕たち三人は見守る。制服で打っても大丈夫なのだろうか。スカートめくれないか?


「それでは試験を始める……始め!」|

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