第7話
「でも、この問題難しいです。どうしましょう。」
「あたしもさすがに解けない」
やっぱりそうなるだろう。これはポイントになるなら仕方ない。読者のみんなに聞いた質問の前者を選ぶことのメリットの方が大きそうだ。『共感することのモテ』は今回諦めよう。
「ちょっとその紙貸してくれないか? 」
解きかけの問題用紙を彩花さんから受け取り、問題文を読み問題を解く。この程度であれば解けそうだ。問題を解こうと解答に目をやると
『Apparently, large quantities of』
と書かれている。偶然だろうか、いや、偶然にしても運が良すぎではないではないか?なぜこんなことを思うのか。なぜならここまでの文に一切の間違いがなく、この後の文は中学で勉強してきた知識でも解けるくらいだ。まさかとは思いつつ残りの文を付け足す。
『Apparently, large quantities of CO2 contribute to global warming.』
これが解答になるはずだ。書いた紙を先生に渡す。
「これが最終的な解答で大丈夫ですか?解答はもう変えることはできません」
「大丈夫です」
「分かりました」
先生は問題用紙を持って自分の作業机に向かった。静かな沈黙。沈黙の中僕は『英語の問題を解いていた少女』に目をやる。視線に気が付いた『少女』は二人にばれないように気を付けながら僕にウインクをした。『男が好きではない少女』とは何なのだろうか。
先生は採点が終わったのか、こちらへと向かって歩いてくる。
「先生、どうでしたか? 」
先生は、ふふっと笑い
「秘密です」
と答えた。それ以降僕たちが何を聞いても『秘密です』の一点張りでそれ以外は答えてくれなかった。僕たちは諦めて英語科室を後にし次に向かう場所を再び話し合うのだった。
英語科室を出た僕たちは次に向かう場所を話し合う。
「次、どこに行きますか?」
「ここから一番近いのは…体育館ね」
ここから渡り廊下を抜ければすぐに体育館に行くことができる。選択肢としては無難だろう。
「いいとは思うが、体育で出される問題って何だ?」
恥ずかしいことに筋トレはしているのだが体育は大の苦手だ。
中学の時、保健体育は10段階評価のうち高くて5、体育は3しか取れない。真面目にやっていたはずなのになぜだろう。
「気になるわね。私は体育は苦手ではないけれど茜と萌々どうかしら。できたら保健もどうだったか教えてくれると助かるわ」
「私は種目によって苦手なものと苦手じゃないものがありました。保健は…一応できます」
あれ?
「あたしは運動得意なほうよ。保健はまあまあね」
あれれ?
「ということは体育に関して役に立ちそうにないのはそこに立ている男だけってことね」
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