第6話
「そういうわけではないわ。どうせわからないなら早く解いてしまった方が時間の無駄にはならないという考えよ」
そういうことか、『正解しなければ教室から出られない』というルールは書かれていない。問題を解けばいいのか。
「なるほど!少し心が痛みますけどそうするのがいいかもしれませんね」
「それなら早く解いちゃおう」
茜と萌々は彩花に賛同している。
「先生、正解しなくても問題を解けば教室から出られるんですか?」
僕は先生に質問した。実際のところ、そのやり方でいいのであれば一番に校長室にたどり着くことは難しくない。
「はい、正解しなくても大丈夫ですよ」
ならこれは好都合か―
「正解しなくても大丈夫ですけど、ただこのスタンプラリーの問題の正答率も最終的にかかわってきますよ」
どういうことだ、正答率?そんな説明なかったはずだが
「先生、それは正解できた数と優勝には関係があるってことですか? 」
萌々が先生に質問する。すると先生は少し苦笑いし、衝撃の事実を話した
「はい、完全にあってるわけではないですけど大まかにそのように考えてもらってても大丈夫です。ただ六カ所の問題を全問正解したとしても優勝することができるわけではありません」
「つまりどういうことですか? 」
「六カ所周った後、最終的に校長室に行って問題を解くことまでは知ってますよね?この後の話からが重要で、校長室での問題に一番に答えられたから一位になれるわけではありません」
「そこから先ほどの話に繋がるんですね。」
「はい、理解がとても早いですね」
となると、この勝負に実際的な早さは必要なくて制限時間内に周る教室、問題解答時間
を考慮すれば優勝は狙えるということか。
「えーと、すみません信也君、どういうことか教えてもらえませんか? 」
茜さんが首をかしげながら聞いてくる。この子はどうしてこうもあざといのだろうか。
「つまり、一番最初に校長先生からの問題を解いたから一位になれるというわけではなく、校長先生の問題に正解するまでの正答数も影響してくるというわけだ」
「えーと」
伝わっていないようだ、まとめられていたと思っていたがダメだったか。まとめる力をを身に付けないといけない。
「もっとわかりやすく言うと、最終的な正解の数も大事で時間以内に校長先生の問題が解き終われば優勝も狙えるということよ。そうでしょ? 」
「ああ」
彩花さんがフォローしてくれた。ルールの文と三グループという単語から『早い者勝ち』だと思っていた。それにまさか正答数まで大事だったとは。
「そういうことですか!でもこの情報って他の班の方は知らないんですよね? 」
「だろうな。先生、こんなこと教えてしまって大丈夫なんですか?」
先生は微笑む
「本当はダメですよ、ですが少しでもやる気を出してもらえるかと思って言いました。これは秘密ですよ?」
僕たち三人は頷く。先生のご厚意に感謝しつつ今必要なことに対して考えをまとめる。さてそうなるとこの英語の問題は『ポイント』になるわけだ。
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