第2話

僕の通う涵養高校は有名大学に進学してるような学生が多い進学校だ。ただ一つこの高校には大きな問題がある、それは『田舎すぎて遊べる場所が少ない』という点である。近くにある店といったら、高校から二キロ離れたところにマイナーなハンバーガー屋が一件程度。だけどそんな高校にも『女子が多い』というメリットがある。だからなんだと思うかもしれないがこれは重要なことだ、ぜひこれからを楽しみにしていてほしい。



 そんなくだらないことを考えながら通学路を歩いていると、僕の前にいた女子たちがなんだか楽しそうに話している。見たところ同級生だろうか



「そういえば、1年E組の悠馬君って知ってる?私昨日話しかけられちゃった!」



「もしかして鴨下悠馬君?」



「そうそう」



なんだ悠馬の話か、やっぱりあいつモテるんだな。



「うそー、うらやましい。私も話したいな~」



「でもね、悠馬君に話しかけられて嬉しかったんだけど、その時に一緒にいた人がいたの」



「一緒にいた人?」



「そうそう、たしか、野掘とかいう人」



え、僕の話か?これは僕の得意な技術の一つ『地獄耳』で聞くしかないな



「誰かわからないけどその人がどうかしたの?」



「うん、その人が、ずっと私のことを見てきて気持ち悪かった」



え?



「うわー、それはないね」



それはおかしいだろおおおおおお!!まさか本当に地獄みたいな内容だったとは。



「しかも胸ばっかり見てくるの」



ま、まて、誰がそんなグラビアアイドルにいそうなくらい大きな胸を見るんだ!あれ、この回答は見ていたことになりますね。すみませんでした



「そんなやつのこと考えるだけ無駄だよ。キモイ奴のことなんか忘れて悠馬君の話しよう」



「うん、そうだね」



ま、まずい、このままだと変態というレッテルが張られてしまう。張られたが最後、僕の高校生活が終わってしまう。訂正しなければ、と思った矢先聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「おー、信也じゃねーか。って、おいなんでそんなに涙目なんだお前」



「う、うるさい。モテる奴にはわからない問題なんだ」



「またモテるモテないの話か、気にするなって」



気にするだろ!と言いたいところだが、まあ落ち着こう。



「なあ、どうしたらモテるんだよ。僕も悠馬みたいにモテたい。どうしたらモテるのか教えてくれよ」



「はぁー、分かった。こうしたらモテるんじゃないのかっていうのを俺が信也に思いつくだけ話すよ。ただこれは推測にすぎないから過信しすぎないようにな」



「本当か、ありがとう!モテるための研究をしてモテて見せる」



こうしてモテるための研究が始まったのである。あれ、何か大事なこと忘れてないか、、?





『ペアづくり』それはペアの人との関係を深めることのできる絶好の機会だ。なぜこんな話をするのか、それはもちろんこの後にあるグループ活動が待っているからである。グループ活動の内容は『校外学習前のレクリエーション』らしい。これはモテる研究をする絶好のチャンスだ。是非そろそろ女子と仲良くなりたい。



「そろそろグループをつくろうと思う、思ったけど自由にすると長引くからくじ引きで決めるぞ」



この教師はなにをいってるんだろうか。だけどそれはそれでラッキーだ。クラスの女子は25人男子は15人、班員は4人でそれが10班である。これは可能性が高い



「それではくじ回していくから、番号が分かったやつから班を作っとけー」



遠くで女子たちの騒いでいる声を聞きながら僕はくじを引いた。『4班』らしい。



えっと、4班、、え、僕以外全員女子だこれはチャンス到来。ありがとう神様。



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