第18話本拠地発見?
いつもより騒がしくなった夕食に、心がほだされてゆき今日は四人で本当に良かった。ヒエとヤエには、今晩どうするのかと聞いが。二人で、八幡神社に戻り明日の朝またアパートに来るそうだ。
「大丈夫なの? 襲われない? 閉じ込められない?」
「私達は二人で一人なのよ、五泉市に改めて目を張った。もう油断しないわ」
「わかった、じゃあまた明日! ヤガミタケシも連れて来てよね!」
「ヒエ様ヤエ様おやすみなさいませ」
「おやすみ〜」
そう言うと姿がかき消えた。抑えていた劣情の火が灯る、キョーコの袖を引っ張る
「おっお風呂もまだなのにお願いがあるんだ……」
「なに珍しいわね、また胸を貸して欲しいの?」
黙ったまま布団へと引っ張る。
「ちょっと!?」
「うっ上手く言えないけど、抱いて欲しいキョーコに抱いて欲しい……」
「私は八神さんじゃ無いわよ……」
「そんなんじゃない! 初めてなんだ求める事は! 求められる事はあったけど……」
「キョーコは全部くれた……だからアタシの初めてをキョーコに捧げたい。キョーコが嫌なら……良いよ……」
キョーコが優しくキスをしてくれた。
「私でいいの?」
舌を絡めながら、身体が熱い。手早く服を脱ぐ
「こんな傷痕が有るけど良いかな?」
「良いも何も私が愛してる人は、最初からこの傷痕が有る人よ……」
傷痕に舌でなぞられる、もどかしい気持ちで昂る。
「攻めるのは初めてなのよ……良いわよね?」
キョーコに抱きつく
「良いよキョーコになら何してもいい、何されても良い!だから……だから……」
そこから先は覚えていない……只々ひたすらにキョーコを求めた、今アタシはキョーコの腕の中で小さくなって抱かれていた。
「可愛かったわよ……マキ、でも爪を立てないでね結構痛かったわよ」
優しく髪を撫でられる、ちょっとくすぐったい。果てるとき、キョーコを手放したく無くて。気が付いたらキョーコの背中に爪を立てていたらしい。
「ごめん、どうしても……」
「今夜だけよ……今はもう眠りなさい……私も結構……イッたから……」
そう言うとキョーコは眠りについた。アタシは結局の所、処女のままだ。でもアタシから初めて求めた、キョーコから愛されたかった。師匠ヤガミタケシを愛してる、でも……今だけでもいいキョーコを同じ位、それ以上に……大切な存在かもしれない。
どこで拗らせたんだかアタシも……女同士なのにね、それも人妻だ。ある意味終わってる、でもさ……返さないとね元いた場所に……深く考えると眠気がやってきた、明日シーツ洗わなきゃ……眠りにつく
朝御飯の匂いで起こされる、キョーコが朝食を四人前も作っていた。四人!? トレーニング部屋にはヒエとヤエが既に来ていた。見られた!? 自分が全裸だった事を思い出し慌てて隠れる。
「何時からここに居たのよ!」
「今朝よ、二人共に寝てたから。キョーコだけ起こして朝御飯お願いしたのよ」
「程々にしときなさいな二人共」
完全に事後を見られた、よく見るとキョーコの顔が真っ赤だ。アタシも真っ赤だ、さっさと着替えてヒエとヤエの前に座る。
「何も見てない、良いね?」
「だってさヤガミタケシ」
「このっ!」
「そこまでです三人共、朝食を抜きにされたいですか?」
キョーコが、朝食を持ってくると私達は大人しくなった。フレンチトーストが山盛りだ
「多すぎない?」
「そんな事言ってると無くなるわよ」
よく見るとヒエとヤエが、物凄い勢いで食べてる。アタシもキョーコも食べ始める。日本の神様が、フレンチトーストをガッツリ食べてるとわねぇ。まっ良いか、今日はオッサンが退院するはずだ。
「朝食を食べお終えたら、病院へ……って女神達はどうする?」
「行くわよ? 元の姿に戻れば良いだけの話だし。朝食を食べたくって人の姿になっただけよ?」
引っ叩きたい、それでわざわざ朝早くから来たのか。
「茉希、顔が怖いわよ?」
「もういい……じゃ」
スマホが着信を知らせる、オッサンからだ! すぐに出る
「もしもしオッサンか!」
「おう! 退院してやったぞ」
「待ってたよ! 今どこ?」
窓の外からクラクションが聞こえる。既に来ていたようだ、助かる。
「上がって来て、皆いるから」
「今行く」
良し! これで攻める事ができる筈だ
「今からオッサンがやって来るよ!」
「あ〜あの髭の?」
「そうだよ」
ドアをノックされて部屋へと招き入れる
「オッサン大丈夫かい?」
「まぁ何とかな、それよりも随分と大所帯になったな?」
「まぁ色々あってね……ヒエとヤエの事は知ってるよね?」
「久しぶりね髭」
「相変わらずですなぁ……」
じゃあさっそく本題に入りますか。キョーコを襲った男が残していった物を取り出す。
「ちょっと! それ割と呪物よ」
「だろうね、そこでオッサンの出番って訳よ」
「どういう事だよ?」
「キョーコの居場所を突き止めた時と一緒よ、それとの繋がりを探って突き止めて」
「無茶苦茶な事を言われてもなぁ?」
「大丈夫、信じてるからさ!」
「わかった、やってみるよ。ソレをよこせ」
受け取るとオッサンが黙って念じる
「ねぇ茉希? 髭の事どうなの?」
「以前にキョーコが攫われた時に、居場所を突き止めてくれたのさ」
「へぇ~っじゃあ、ヤエ! 力を貸してあげなよ。ヤガミタケシは私が預かるから」
「ちょっとだけよ力を貸せるのは?」
「頼むよ、これで全てが終わるかも知れんだ!」
「わかったわよ……ヒエお願い」
ヤガミタケシをヒエに渡すと、オッサンの背中に手を乗せる。少しして、オッサンが目を開ける。
「見えたぜ一つは警察署の方に、最後に一箇所とんでもなくどす黒いモノが見えたぜ」
地図アプリを起動する。
「何処だよ?」
「ここだな」
古びてもう潰れてしまった、スポーツセンターを指差した。昨日ヒエが違和感を感じた所から近い場所だ。やっぱり神様の力って凄い! ヤエが手を貸してくれたからこそ詳細な場所がわかった。
「どうするよ?」
「行くよ、終わらせる為に」
「ふぅ……でもよ相手は幽鬼に淫獣、下手すりゃ人間も居るかもだぜ」
「大丈夫だって! 相手が人間ならぶっ飛ばす!! 幽鬼共なら穿き斬り裂く!!」
ヒエとヤエが口を揃えて言い放つ
「ここから先は人間同士の戦いよ、私達は見守る事しかできない……絶対に生きて帰って来て」
「任せろ! なっ! オッサン、キョーコ!」
「本当にお前は……俺は病み上がりだぞ! バックアップ位しか出来ないぞ?」
「弱音吐いてないで、これが終れば幾らでも休みなよ!」
「ったっくよぉ……」
キョーコは神妙な顔をしている、何も喋らない。
「せめて明日にしない?」
「駄目だ、今すぐに叩き潰す!」
「でも……不安なのよ……」
「オッサン用意して欲しい物がある!」
「何が必要だ?」
メモを書き渡す
「おまっ! コレはヤバい絶対に無茶だ!」
「勝つ為だよ! 要だよオッサン!」
「言っても無駄か……わかった用意する、人手が必要だな……まぁなんとかするぜ!」
「夕方の四時にアパートに集合オッケー?」
「なんとかしてやるよ! それまで京子ちゃん説得しとけよ……」
そう言って、アパートを出て行った
「ヒエ、ヤエ少し二人っきりにさせて終わったら……」
「わかってる」
そう言うと服だけ残して消えて行った。キョーコの肩を掴む俯いて顔が見えない、顎を持ち上げると凛々しい顔が涙目でぐしゃぐしゃだった
「見ないで……」
「キョーコ……アタシは…塚田京子を愛してる。どんな事があろうと貫き通す! だから絶対に生きて帰ってこよう!」
「そう言って……生きるって言ってたのに死んだ人が居たのよ……自分からね」
「ヤガミタケシだよね……キョーコもしかして……」
「それだけは無いわ……強いて言うなら上司と部下って所かしら……でも……」
ヤガミタケシの死は、キョーコにもトラウマになって居るらしい。
「怖いのよマキが……」
「じゃあこうしよう! アタシが生き残ったらキョーコは、即離婚してアタシに添い遂げる」
「へっ……?」
「今更返すと思う? アタシは嫉妬深くて執念深いんだよ」
「ずるいわよそんなの……」
目を見つめる
「本気だよ……離さないって言ったよね? キョーコも覚悟を決めてアタシについて来い」
「本当に……離婚してヒカルと押し掛けるわよ?」
「キョーコと、どうであれ五年以上レスだったんだろ?」
耳元で囁く
「キョーコはアタシんだよ」
「これ以上は帰って来たらしようね!」
「そうね……マキの背中は私が守る」
「任せた! ……それとヒエとヤエ見てるでしょう出てきな」
「バレてた!?」
「悪いけど今のアタシは絶好調でね。ずっと気付いてたよ」
「そうなの!? ヒエ様ヤエ様酷いです!」
「何が酷いのよ……京子まさかあんた……」
「そんな目で見ないでください!!」
「五年前と随分変わったわね、あんなに険しい顔して。ヤガミタケシを引っ叩きながら戦わせていたのに……」
「キョーコ悪いけどドン引きだよ……」
「違うわよ! 違わないけど……あの頃の私は、仕事柄どうしても事務的かつ冷徹になるしかなかったのよ!!」
「それにその頃はもう色々不満と不安で……」
「あ〜こりゃ思った以上に溜まってたんだねキョーコは」
「悪い!?」
まさかここ迄鬱憤が溜まっていたとはねぇ、だから本気で抱き合った次の日から雰囲気が変わったんだね……あの時アタシとキョーコは一つに溶け合うほど愛し合った。結果としてもう戻れない所まで来てしまったが……それは置いておくか!!
「何か食べに行かない? 今日は長くなるぞ!!」
「バカッ!?」
「私達マッグが良い!! 五年振りに行きたい!!」
「アンタラは日本の神様でしょうが!」
「美味しいものにそんなの関係ないわよ、莫迦何じゃない!!」
「こんの……」
「じゃあ行きましょうかヒエ様ヤエ様」
「マキも支度して、もう奢っちゃうから!!」
何かヤケクソ気味だなぁ、ちょっと怖いよキョーコ……
不安は的中した……女神達がガッツリと食べている。
「キョーコなんか……ごめん」
「良いのよ、さっ食べましょう」
「うん、いただきます」
慌ただしく最後の時間が過ぎて行く、アパートに戻り、入念に女神達にも協力して貰い準備が整った。外からクラクションが聞こえる。
「待たせたな!」
「物は?」
「ちゃんと用意して別の車で運んでいる、他に事情を知ってる奴を何人か連れて来た」
後ろから大型のワゴン車が二台ついて来ていた。
「乗ってくか?」
「アタシ等はコイツで行くよ」
バイクを指差す
「それじゃあ、これで最後の戦いになる様に頑張ろう!」
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