第2節




ドォン!!!!!!


隣の教室から机を叩く音がした。


茅並「ん?何の音だ?B組からか?」


陶次郎「B組・・・。あー、おれちょっと見てきますね。十中八九知り合いが原因なので。」


茅並「いや、舶がいなくなったら誰が仕切るの?代理立てな、代理。」


先生が見に行くって選択肢は無いんだ・・・。


陶次郎「ん〜・・・。じゃあ宇橋ちゃん、頼めるか?」


静姫「えっ、私?なんでよ?」


不服な顔をしていると、舶が耳打ちしてきた。


陶次郎「多分暴れてるの、レイだよ。鶏本怜六。良い機会だし、一回会ってこい。」ヒソヒソ


隆静「余計嫌なんだけど。まぁ、これは借りって事で。」ヒソヒソ


俺は嫌々ながら、教室を出た。


茅並(・・・いい加減付き合えよアイツら。教室内でイチャイチャしやがってさぁ。)




7階建ての高等部校舎のうち、今年の2年の教室は3階と4階にある。4階には階段の東側に2-A、西側に2-1の教室があり、2-1の西隣から非常階段へと順に2-B, 2-2, 2-Cの教室がある。因みに3階は階段東側が空き教室になっており、西側には2-3, 2-D, 2-4, 2-Eの教室がある。


隆静「ったく、なんで俺が損な役回りをするハメになるんだよ・・・。」ブツクサ


不満を垂れながら、俺は2-1のすぐ隣にある2-Bを覗いた。反対側からは2-2の生徒も覗いていた。


バァン!!!!!!


今度は黒板を叩く音だ。発していたのは、教卓前に立つ一人の生徒だった。ツインテールをリボンで結んでおり、元から短い制服のスカートを更に少し折ってる様子だった。間違いない。鶏本怜六だ。


隆静(おいおい、物は大事にしろよ・・・。)


乱暴な行動に呆れていると、教卓の前の彼が声を発した。




怜六「あのなぁ、3年生を差し置いて優勝したい、っつーたのはお前らやぞ?なのに誰も曲を提案しようとせずさぁ!出任せだったのか!?あ!?」


・・・いや、声低っ!見た目とアンマッチ過ぎでしょ!?関わった事が無かったからこれ迄知らなかったけど、こんな声しとるんや。


怜六「オレだってこんな怒鳴りたくないからさ、大口叩くなら本気出せよ!その方が楽しいだろ?な?」


いやいや、中身熱血漢じゃんwww


怜六「というわけで、クラスSEINにオレの知ってる合唱曲を複数個貼っつけとくから。他に良さげな合唱曲を見つけたらどんどん共有してく感じで良いと思うが、異論は無い?」


B組の教室からは小さな拍手が聞こえ、それは次第に大きくなっていった。


隆静(おぉ、なんか落ち着きそうだな。じゃあ俺はそろそろ退散とするか。)




その時だった。


B組男子生徒「怜六ー。ところでさ、この会話を盗み聞きしている他クラスの不届き者がいるんだけど、どうする?」


隆静(げっ!?バレた!?)ギクッ


俺は反対側にいた筈の2組の生徒の方を向いた・・・・・・が、もういなかった。


怜六「あぁ、オレが教卓叩いた辺りからずーっと見てる女子が1名いるな。多分1組だろうから、トッチィから送り込んだんだろ。取り敢えずほっとけ。後で直々に処すから。」


えっ、ちょっと待って!?【トッ↓チィ↑】って誰!?【処す】って何!?


B組女子生徒「てかさ、チャイム鳴る迄もう少しあるし、代わりに怜六くんが見に行ったら?話し合いも中断したわけだしさ。」


怜六「それは・・・・・・名案やな。よし、少し待ってろ。」


俺は慌てて1組の教室に戻った。こういう時、入口から席まで離れているのが恨めしい。




静姫「ふぅ~。解決はしたっぽいよ。私が覗いてたの、思いっきりバレたけど。」


省鑼「え!?だ、大丈夫だった?」


静姫「ギリギリ逃げ切れたけど、多分今からこっちに鶏本怜六が来るわよ。」


省鑼「あぁ〜・・・。鶏本くん、ああ見えて物凄く短気だから、良くない展開にならなきゃ良いけど・・・。」


静姫「・・・・・・投堂さん、知り合いなんだ。」


省鑼「うん。鶏本くん、同じ吹奏楽部だから。普段は優しくて頼りになるんだけど、一回キレると直接謝ってくる迄絶対に許さない主義でね。」


なにそれ怖い。気持ちは分かるけど。




ガララッ。教室の扉が開いた。


怜六「今B組の話し合い覗いてたの誰や?」


陶次郎「レイ、すまん。おれが送り込んだ。だから模索せんといてくれ。」


怜六「了解ー。それと、トッチィは処す。」


ガララッ。教室の扉は閉まり、暫しの静寂に包まれた。




〜メルティッド・チョコレート〜




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