第8話 タイクツ

制服に着替え、学校へと自転車を走らせる。

いつも通り同じ席に座り、それなりに勉学に励む。

窓の外には、一筋の飛行機雲が青空を割っていた。鉄の塊が空を飛ぶ原理が急に気になり出した。

 しかし、そんな事は気にしていられない。今は目の前にある黒板に書かれたチョークの白い文字をノートに書き、真面目に授業を受けなければならないと思い、景色は青から黒へと変わった。

 赤い橋といくつかの角を曲がり帰宅した。

今日こそはと思い、二階へと上がる。

一通の手紙を引き出しから取り出しまた読み返す。あの日からすぐに返事が書けず数日経っていた。

少し青みがかった便箋を取り出し、自己紹介の手紙同様それとちょっとばかりの情報を書き連ねていく。

 上手い言葉が見つからず、ただ文字を並べていく。好意を持ってほしいという気持ちがあるのか自分の限界に挑戦した綺麗な文字を書いていく。

 気持ちを託した便箋を封筒に入れ、シールを貼り、後はポストに入れるだけなのだが、小鳥に代わるシール等持っていない。

 下に降りて、持っていないか聞いてみると母からクッキーの缶を渡された。

それを手にし、また部屋に戻る。

中には色、形、様々な種類のシールが入っていた。

その中でも手紙を守ってくれるのに相応しいオモチャのロボットのシールに決めた。

 制服のまま、もう一度自転車にまたがり、前回と同じポストに入れた。

今回は前のような感情はなかった。

そこに立つポストが今日は逞しく思えた。別世界の入り口にも思えた。

それから同じ道を帰る。

家に帰れば夕ご飯が出来ていた。

胃袋を満たし、白黒のテレビを見て話題についていけるように期限付きの情報を頭に入れていく。

 テレビの内容を朝、学校で笑いながら話す。夕方にはもう今日の出来事を振り返るのだ。

たかが、五分、十分程度の話題の為に一時間も二時間も見なければならない。とんだ浪費だ。

ついていけない人は仲間外れにされる。何事も無く学校生活を送るのには一応必要となる。

部屋で本でも読んだ方が自分には得だと思っていた。

しばらくして、二階にあがり机に向う。また勉強。

学校でも家でも勉強、変わる事無くこんな毎日を過ごしていた。

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