第9話 オモイコミ

季節は少し景色を変えていた。木々が白く雪を積もらせていた。

もちろん、地面だってそうだ。自転車を漕ぐ分には困らない位の雪があった。

 あれから、他愛のないやり取りを含め手紙を複数回送り合った。

送った分だけ手元に同じ数返って来る。

それが今でも勉強の支えになっていた。

送った後は返ってくるのが恋しくなる。返事が遅いと何か変な事を書いてしまったかも、と布団の上をグルグル回る。

郵便受けを開けるのが日課になってしまった。

 相手に返事を書く時は、どんな顔だろうとか、受け取った時の相手の表情を頭で浮かべながら書いていくと最初の頃よりも自然と綺麗な文字が書けていく。

 手紙のやり取りの中でいくつか分かった事がある。

受験する高校が同じである事、海が見える家に住んでいる事、小学校の時に流行した遊びが同じである事、誕生日、その他にも、少しずつであるが分かった事だ。

 相手が自分の事をどう思っているか分からないが、好意的であることは間違いないだろうと思っていた。

 もし、そうでなければここまで続く訳がないという確信を持っていた。

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