第3話 ショウドウ
椅子に座り、もう一度手紙を読み返す。内容は変わらず同じだった。境遇も似ていた。
何の疑いも無く、返事を書こうと決めた。
若さとは時々、恐ろしい力を発揮する。何でも出来る気がするし、世界の中心に立っているような気分に陥る時だってある。間違いか正解かの答え合わせはきっと数年後だろう。
ノートの後ろのページを切り取り、ペンを走らせた。
【手紙読みました。
瓶に気持ちを託すってロマンチックですね。
同じく高校受験を控えています。
良ければ、ストレスの発散でも世間話でも愚痴のこぼし合いでも構いません。
お返事待っています。よろしくお願いします。】
不思議なものだ。気持ちが入っていると、自然と字は綺麗になっていた。
ノートもこれくらい綺麗だと読み返しやすいのだが、簡単にはいかない。綺麗なページは、買ったばかりの1ページ目だけだ。
この日も同じ日々の繰り返し。日課と言うべきであろうか。ノートのページを手前に戻し、頭を一時的な記憶が埋めていく。当然、大して笑えないラジオも一緒。
一つ違う事と言えば、机の上には一つの手紙があるくらい。
これも明日には、ポストの中で読むべき相手に届けられるのをじっと待つのであろう。
そんな事思うと、今日はなぜかペンは進むし、理解出来る事柄が多い気がする。
時間もすっかり、遅くなっていた。
今日は、良い気分転換が出来たのだろう。心地の良い夢が見れた。
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