第37話 光

「決戦の日はどうする?」


「どのくらいの人数で中に入る?」


「武器はどうする?」


みんなからの言葉が美波の脳思考を停止させた。


「美波、大丈夫か!?」


湯地が下を向いて動かない美波の隣に座った。


「大丈夫じゃないよ〜。私、頭使うの苦手なの〜。」


その言葉を聞いて、「そんなのとっくの昔から知ってるよ!」と笑う湯地。


「ここは俺と神無で話をまとめておくから!」


そう言うと神無を呼び、話をまとめ始めた。


すると、ワカトキに「ちょっと来いよ!」と言われ、美波はその場から離れていった。


案内された場所は、神社の家主の家の中だった。

「お邪魔します!」と入ると、そこではリビングで廃絶がお菓子をボリボリ食べ、緋色がお茶を注いでいた。


「おやおや、またお客さんかい?この子は初めて見る子だね。」


そう言うとおばあさんはキッチンへと戻っていった。


「おい、ばあちゃん!今度はクッキー出そうとしてるのか?そんなに出したら俺のお菓子が無くなるじゃん。」


その言葉を無視して、リビングへと足を運んだ。


「ばあちゃん!!俺の言う言葉聞いてる?」と言う聞き覚えのある声を聞き振り返った美波。

するとそこには、大羅が居た。


「驚いたか?ここは大羅のおばあちゃんの家なんだ。」


緋色がそう言って美波に近づいた。


「そういえば、初めて話すな。廃絶を助けてくれてありがとう。すごく感謝している。」


そう言うと緋色は美波の手を握った。


「私は何もしていません。廃絶さん自信が自分を助けたんです。」と笑う美波を見て、目を逸らした緋色。


「そういえば、美波って緋色のお姉ちゃんのひかるにどこか似てるよな〜。」


その一言で緋色は青ざめた表情をして出て行ってしまった。


「どうしたのかな?」


美波が心配している様子を背に、「あいつまだお姉ちゃんが自分のせいで居なくなったと思っているのか。その気持ちも何とかさせなきゃな。」と廃絶は独り言を囁いていた。



1週間後に計画を発表することを目処に、この日は解散した。



1週間後


「みんな集まったみたいですね。それじゃ、計画を発表します。」


美波は大勢の視線を集める中、話し始めた。



話終えると、気合いの声が聞こえてきた。

それを聞いて嬉しい気持ちになった美波は、また口を開けた。


「計画実行の日時は3日後の8月10日。この日は鳶田さんの誕生日と聞いた。」


そう言って、手を太陽に伸ばした。

太陽の光がやけに眩しくて瞼を閉じた。

そして、その光景をみんなは不思議に眺めている。


美波はその手をぎゅっと握り、目を開け、こう言った。「だから、奴隷なんてなくして、笑顔で最高の誕生日にしようと思います!」と。



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