第36話 みんなと繋がった今

一斉に狂乱のメンバーを招集した廃絶。

急に呼び出すことは初めてだったらしく、狂乱メンバーは慌ただしく集まった。


「みんな聞いてくれ。」


廃絶の声がいつもより小さいことに驚きを感じるメンバー達。


「俺は鳶田という奴の奴隷なんだ。そして、俺はずっとあいつの言いなりになり続けた。だけど、もう決心はついた。」


奴隷という言葉に周りがざわつく。


「俺は…」


廃絶の大きい声が辺りに響きわたり、その声で皆がシーンとした状態となった。


「俺は、もう言いなりなんかにはならない。自分が正しいと思う道をひたすら走り続ける。だから、奴隷という立場の俺に決着をつける為に俺に協力してほしい。頼む…」


狂乱のメンバーに頭を下げる廃絶。

それを見てソワソワするメンバー達。


「俺は、廃絶について行くつもりだ。これから先もずっと。だから、協力するなんて当たり前だ。」


そう言うと緋色は微笑み、廃絶の隣へと歩み寄った。


「ありがとな!緋色はやっぱり最高の相棒だな!」


目をうるうるさせながら笑顔になる廃絶は、緋色に抱きついた。


「俺らもついて行くぜ!」


1群の共鳴きょうめい大羅たいらと共鳴 《ともなり》真城ましろが声を揃えて言った。


みんなが口を揃えて「おー!!」と言った。

言葉でみんなと繋がった気がして「ありがとう。」と嬉し泣きをした廃絶の頭を撫でる緋色。

心が温まるような光景がそこに広がっていた。



「これからの計画を美波に話してもらう。こいつはこの計画のリーダーだ。」


そう言って美波に近づき腕を引く廃絶。

「ちょっと!」っと腕を振り払おうとするも、男の人の力には勝てるはずもなく、みんなの前に立たされていった。


「みんな、短い間かもしれないけど、今回はこいつがリーダーだからな!ちゃんと話を聞くんだぞ!」


廃絶がそう言うと「はい!」と男臭い声が響き渡りあたふたする美波。

「胸を張っていれば大丈夫だ!」と廃絶の耳打ちを聞いて切り替えた。


「私は美波です。この計画のリーダーになりました。これからよろしくお願いします。まずはこの計画について説明します。」


そう言うとみんなの前で自分の思いを、計画を話し始めた。



全てを話終えると狂乱メンバーが次々と美波の周りに集まり、握手を求めてきた。

それにびっくりする湯地達だったが、都に関してはササッと美波の隣に行き、握手を複雑な表情で見守っていた。

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