第34話 廃絶と美波
美波が家を飛び出して行った。
ハグされたことに驚きを隠せない湯地。
あまりの行動の速さにキョトンとしてしまう神無。
ハッとして後を追う都。
湯地を見てニヤニヤするワカトキ。
先に声を出したのは湯地だった。
「美波はみんなに優しく出来て、大事にできる人だ。俺はそんな美波に救われたんだ。行動に移すのが早すぎていつも驚くけどな。」
ニカッと笑顔になる湯地。
「2人とも大丈夫なのか?すごく心配だ。追いかけた方が良かったか。」
神無は後を追うことが出来なかった自分に後悔した。
「大丈夫。作戦を思いついて人集めでもしてると思うから。」
湯地は神無の肩をポンっと叩いた。
「俺達は美波を待てば良いってことか!」
ワカトキはそう言うと2人の間に座り肩を組んだ。
「やっぱりここに居たんですか!廃絶さん協力して欲しいことがあるんですけど…」
美波は冥利神社に着き、廃絶に近づく。
「協力?てか、誰だっけ?」
眉を寄せ考える廃絶。
「私は都の友達の美波です。奴隷を無くすのに協力して欲しい!そして、鳶田怪を奴隷の主から解放するの!」
廃絶は怖い表情で美波のガシッと肩を掴んだ。
「奴隷を無くす?奴隷の主から解放する?そんなことが出来ると思うのか?何故、俺に頼んだ?俺のことを知っているならどんな状況に置かれてるか知ってるよな…」
美波は肩を掴んだ手を振り払った。
「簡単に出来るなんて思ってないです。でも、やります。その為には廃絶さんの協力が必要なんです。お願いします…お願いします。」
美波はそう言うと深く頭を下げた。
「顔を上げろ。」
「協力って言うまで上げないです。」
廃絶はため息をついた。
「わかった。協力する。けどな、もし失敗したら、お前の仲間が痛い思いをすることになるからな。」
「私の仲間はみんな同じ気持ちです。もう、あとには引けません。」
その言葉は廃絶の心にズシッと重たくのしかかった。
そして、美波とその仲間達の覚悟がどれ程のものか身をもって感じたようだった。
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