第33話 打ち明ける

「なるほど、話したいことか。わかった。」


ワカトキは美波の隣に腰を下ろした。


「このメンバーで集まったことってまだ無かったよな!嬉しいって思う!」


ワカトキが来ることによって空気が穏やかになった。


「じゃあ、なんで俺が鳶田の奴隷であるのかを打ち明ける。」


そう言うと湯地は語り始めた。


「俺と鳶田は小学生の時からの友達だった。小6のある日、俺の父親が借金をして家に帰ってきた。どうやら借金の肩代わりをしてその人に逃げられたらしい。俺はいつも通り学校に行ったんだけど、鳶田にはいつもと違うってバレて借金のことを話した。そしたら、俺が借金を返す代わりに奴隷になれって言われたんだ。普通なら無理だと断るけど、その頃は1番の友達だったから酷いことはしないと思ってそれを受け入れた。」


ここで一旦、コーヒーを口にした湯地。

そしてまた、話し始めた。


「親にその事がバレることはなく、無事に借金は返されて家族が笑顔になった。俺は奴隷になったけど、いつも通りの友達の関係でいたんだ。中学の時からたまに様子がおかしくなってるなって思った時があった。でも高校から鳶田が苦しそうな顔をして俺に色々指示してきて、今までの対等な関係が奴隷と主人の関係になって、それでも借金を返した恩はあるから、ずっとついてきたんだ。これが俺が鳶田の奴隷でいる理由だ。」


寂しそうな顔をする湯地を美波がぎゅっと抱きしめた。


「湯地も鳶田さんも私が助けるから大丈夫だよ。」


美波はそう言うと家を飛び出して行った。

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