第32話 確信と集まり

「どうした?驚いて言葉も出ないのか?」


鳶田の顔がニヤニヤとした表情に変わる。


「どういうことだよ!湯地を使って廃絶を殺すなんて!」


神無は殴りたいと思う心を何度も何度も抑えた。


「そのまんまの意味。あいつは俺の奴隷だから俺の言いなり。自分の手は汚さず殺すんだよ。」


鳶田はニヤニヤとした表情を未だ続けている。

限界に来た神無は、拳を上げて鳶田に振りかかろうとする。


「待って!」


美波の声で神無の動きが止まった。


「なんで私達にそのことを教えたの?」


鳶田は「チッ」と声を漏らした。


「気まぐれだよ。もう行く。さよなら。」


そういうと鳶田は去っていった。


「きっと止めて欲しいんだと思う。殺したくないんだよ。」


美波は鳶田の背を見ながら、確信したかのようにそう話した。



次の日は予想以上の大雨に見舞われたが、湯地の家に集まり話し合いが行われた。


「で、なんで俺の家なの?」


湯地はそう言いながらコーヒーを入れる。


「まぁ、細かいことは気にするなよ!」


神無はそういうとポンポンと湯地の背中を叩く。


みんなが座ると美波は湯地の方をチラッと見た。


「湯地は…鳶田の奴隷だったんだね。」


その言葉に湯地は驚きの表情を見せていた。


「なんでそれを?まさか鳶田に会ったのか?」


さっきまでの湯地とは違い、口調が早口になっているのがわかった。


「そうだよ。鳶田さんに偶然あったの。そして聞いた、湯地が廃絶を殺すように命令されていたことも。」


湯地は少し黙り込んだ末、口を開けてこう言った。


「鳶田に会わせるつもりなんて無かった。あいつは危険な人になっちゃったんだ…でも、もう隠さず全部な話すよ。俺が鳶田の奴隷になった理由を。」


ピンポーン


話そうとしていたところにインターホンが鳴った。


「よう!」


扉を開けるとそこにはワカトキが居た。


「丁度良かったです。これから時間ありますか?」


湯地はそういうとワカトキを家の中に入れた。




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