第30話 衝撃的なこと
「高校の頃のお前に何があったんだ?」
神無にはどうしても気になることがあった。
中学生の頃、とある噂を耳にした。
それは、貧乏な人が奴隷になると幸せになれると言う噂だ。
そして高校生の頃、また、とある噂を耳にした。
それは、貧乏な人が奴隷になると幸せになることは二度とないと言う噂だ。
当時は気にしていなかったが、今となってはその噂に鳶田が関連しているのか知りたくなっていた。
「俺は中学の頃、貧乏な人が奴隷になると幸せになれると聞いた。そして、高校の頃、貧乏な人が奴隷になると幸せになることは二度とないと聞いた。この噂に絡んでいるんじゃないのか?」
それを聞きハッと驚く鳶田。
しかし、すぐ元の表情に戻し話を始めた。
「それの噂を流したのは俺だ…俺の年相応の心が無くなる前に、奴隷になる人のことを考えてその噂を流した。その噂が俺の知らない所まで流れていたなんて…」
鳶田は空を見上げて笑った。
「俺のした事は無駄じゃなかったのかもしれないな…」
美波は鳶田の近くへと歩いていった。
そして、美波は鳶田の手を握って笑顔でこう言った。
「そうだよ。この世界に無駄なことなんてないんだよ。ひとつでも無駄だって思ったら自分のしてきたこと全部が間違いだったって思っちゃうでしょ。だから無駄じゃないよ。」
「さ、触るな!!」
パシッと美波の手を手を払った。
「ごめんなさい。」
美波は後ろへと下がって行った。
(なんで…俺はすぐにあいつが触れるのを止められなかったんだ。近くに居ることさえ無理なはずなのになんで…)
「で?高校の時何があったんだ?」
神無は知りたくてたまらない様子だ。
「高校の頃、親が海外から帰ってきたんだ。そして、俺は自由に行動できなくなった。ただ、それだけだ。ただ、それだけで俺は真っ黒に染まったんだよ。」
「親に逆らえず、命令に従ってたってこと?それと美波の手を払った罪は重いよ。」
都はキッと鳶田を睨んだ。
「そうだ。親の命令に従い、奴隷を集め、食事は一食で食べ残しを与えた。どんどん奴隷は負の感情が溜まっていった。俺はどうすることも出来ず、心を殺した。それで悪に一直線に落ちていった。」
「…」
3人はもう何も言えなくなってしまった。
「そして今度は、俺が気に入った強いあいつまで殺さなきゃ行けなくなった。もう用無しになったんだよ、廃絶は。」
「廃絶を殺す?何言ってんだ?殺せないだろ。」
神無は殴りたい気持ちを抑えた。
「殺すよ。でも俺自身が殺す訳では無い。」
その言葉に美波はものすごく動揺していた。
そして、ガタガタと震えていた。
「まさか…湯地に殺すように命令して…る?」
都と神無も「まさか。」という表情を浮かべて、鳶田を見る。
「そうだ。まさか湯地まで知ってたなんてね。」
3人はその場に立ちつくした。
鳶田が何か言っている様だが、3人には何も聞こえなかった。
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