第28話 奴隷について

「着いた。ここで話そう。」


「えっ!?空き地?」


「なんか文句でもあるのか、都。」


(私の事をいきなり呼び捨てとは…)


「俺に呼び捨てされるのがそんなに嫌か?お前らとは同い年だ。俺のことも呼び捨てで構わん。」


「AAOちょっと集合!」


神無がいきなり呼び出した。


「??」


なんだとじっと見つめる鳶田を背に3人は集まった。


「同い年ってどういうことだ?同い年に見えるか?」


「見えない。」


「うん。ちょっと見えないね。」


「空き地に来たけど大丈夫なの?私達…」


「大丈夫だ!何かあったら助けるからな。」


そう言うとグッとポーズを都に見せた。


「そーですか。ありがとうございますー。」


「喧嘩はしないでね。」


「わかってるよ。」


「俺もそれくらいわかってる!」


すると


「お前らもう話は済んだか?」


鳶田が近づいてきた。


「はい。大丈夫です。」


「じゃあ。まずは奴隷について話すか。」


3人はゴクリと息を飲んだ。


「俺は奴隷を扱っていて、余り者を廃絶に渡している。奴隷になる奴は、お金が無くて親に売られた者、生きる為に奴隷になった者が多い。日本には奴隷が居ないと思われているが、実際には居るんだよ。気づかないだけで。まあ、簡単に話すとそんな感じだ。」


「…」


「なんか反応しろよ。」


「ごめんなさい。余りにも話がリアルで…」


美波の手が少し震えていた。


「この話はリアルだ。金持ちはこういう事をする。」


「ってことはあんた金持ち?」


都は目を細めてそう聞いてみた。


「ああ。金持ちだ。都、なんで目を細める?」


元の表情に戻し「別に〜。」と言う都。

それを見て「ハハッ!」笑う神無。


「奴隷については大体分かった。次は廃絶について話して。」


美波は自分のドキドキなる鼓動を感じながら鳶田が話すのを待つ。


「わかった…廃絶は俺が居なければ今頃刑務所に入っていた。お前達も知ってるだろ?初代リーダーが死んだ事件を。都は知らないわけが無い。」


「私達その事件のこと知ってるよ。都に教えてもらったから。」


「そうか。なら話が早い。あの時、あいつを殺したのは廃絶。だけど捕まったのは違う人間だ。都は、あの時いたから知ってるよな?」


鳶田に視線を向けられた都。

なぜ、あの場所にいた事を知っているのか。

誰にも気づかれていないと思っていたのに気づかれていたという恐怖が頭を駆け巡って都は動けなくなった。

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