第26話 正直が1番

「誰だ?」


鳶田は美波を睨んだ。


「ちょっと美波どうしたの?」


都と神無は驚き美波に近づいた。


「ちょっとこの人に聞きたいことあって…」


そういうと鳶田の方を見た。


「聞きたいことって、狂乱に関することか?」


鳶田は、にたっと笑った。


「なんで、それを?」


美波はゴクリと唾を飲んだ。


「そいつ見ればわかるだろ?目の下のバツ印。それに、あの会話の後に声掛けられたら誰だってそう思うだろ。」


「そうだね。そうだよね。」


あははと笑う美波。


「で?聞きたいことは奴隷のことか?それとも廃絶のことか?」


3人は固まった。

私達のことを知っているかのように問う鳶田に、何もかも読まれている気がしてならなかった。


「おい、固まるなよ。」


「奴隷と廃絶のこと両方聞きたいと思っていて…びっくりして…」


「そうか、当たったのか。俺は頭がキレるらしいんだ。正直な奴は嫌いじゃない。話してやるよ。奴隷と廃絶についてな。」


3人は展開の速さに息を飲んだ。



「緋色、ワカトキから聞いた。話ってなんだ?」


その頃、廃絶は電話をしていた。


「ちょっと重要な話があってな。」


「重要な話?」


「ああ。奴隷についての話だ。」


「そっか、どんな話だ。」


廃絶は、いずれ緋色から奴隷のことについて何か話されると思っていた。

奴隷を使うことになっても理由を聞かずについてきてくれた。

そんな緋色が重要な話をするのに、とても緊張していた。


「正直に話すが、実は、奴隷の数が多すぎて、把握するのが難しくなってきた。これ以上はもう限界だと思う。」


緋色はメガネをカチッと鳴らせた。


「そうか…」


「なんで奴隷を使う必要があったんだ?俺と廃絶とワカトキは長年の付き合いだ。理由くらい聞かせてくれてもいいだろ。」


緋色は廃絶のことを見ながらそう話した。


「俺の口から言わなくても、いずれわかるよ。ワカトキが俺のこと、嗅ぎ回ってるみたいだからな。」


そう言いながら、遠くを見つめる廃絶。


「そうか、わかった。これ以上は聞かないでおく。」


緋色はまた、メガネをカチッと鳴らせた。


「ありがとな!緋色!」


「ああ。じゃあ電話を切るぞ。」


「りょーかい。」


緋色は電話を切り、イスに腰をかけた。


(廃絶、一体何があったんだ。何を抱えているんだ。)


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