第23話 新たな目標

新たな奴隷が入ったという噂はたちまち狂乱中に広がった。


そして、美波達の耳にもそれは入ってきた。



「奴隷ねぇ〜。」


呆れた顔でため息をつく都。


「誰が奴隷なんて作ってるんだろ?」


美波もため息をつく。


「まぁとにかく湯地も狂乱に入ったから心配いらないだろ。でも、気になるよな奴隷の出処。」


お茶の蓋を開けながらそう話す神無。


「そうだね。」


美波はそう口にしながら、この前の出来事を思い出した。


「あっ!狂乱が奴隷を使う意味を調べるのはどう?身代わりにする為なのか、他に何か理由があるのか!」


美波の声の大きさに驚きながらも2人はいいねと頷いた。


「それはいい案だ!ハハッ!」


バシッ


「美波に近づくな!」


相変わらずの光景に笑いが込上げる美波。


「んじゃあ。狂乱が奴隷を使う理由を探る。これが次の目標だ!」


拳を突き上げ、ニコニコする神無。

次の目標にどこか不安げな都。

気合いを入れ直すかのようにパンパンと手を叩く美波。


すると


「おい、湯地いるか?」


振り返るとそこにはワカトキが居た。


「ワカトキさん!!」


目をキラキラ輝かせる神無。


「神無。湯地見なかったか?家にも居ないみたいなんだが。」


「昨日は会ったんですけどね。今日は見てないです!」


「そうか。ところでそこで固まったまま動かない2人は誰だ?」


神無は2人に驚くこともせず、紹介し始めた。


「こっちの金髪が俺と同じ学校の班日 都!よく俺を叩いてくるスキンシップ女だ!」


「何言ってんの?誤解を生むようなこと言わないでよ。」


都が神無を睨んだ。

怒っているのがよくわかる。


「まぁまぁ。そんなに怒らないで!」


肩を叩く神無。


次の瞬間…


バシッ


神無に猛烈な痛みが襲った。

都の攻撃がみぞおちに入ったようだ。


バタッ


倒れる神無を見ながらニヤニヤと笑う都。


「これをスキンシップと言えるのか?答えはもう出てるよね??」


「わかった。スキンシップ取り消す。だから…許して。」


(今までで1番の怒りようだったな。ハハッ!)


「ちょっと!今、笑ってなかった?」


「いや、笑ってない。」


「ならいいけど…」


パンパン


「はい!そこまで!」


手を叩く美波に2人は言い合うのを止めた。


「アハッ!アハッ!お前ら面白いな!で、その子は?」


ワカトキは笑いながら美波の方を見る。


「私は、凛名 美波。湯地のこと気に入ったみたいですね。神無と湯地のこと大切にしてくださいね。」


美波は真っ直ぐな目でワカトキを見つめる。


「もちろんそのつもりだ。美波。」


「ありがとうございます!」


ブーブー


「電話出てくる。またな、お前ら!」


そう言いながらワカトキはその場を後にした。

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