第22話 公園で、廃工場で
「もしもし、俺だ。売れ残りの奴隷だ。お前らの所にやる。場所は…」
「AAO集合!」
そう神無に言われ、いつもの公園に集まった。
バシッ
「いちいち電話で集合って言わなくてもいいじゃん!馬鹿じゃないの?あっ!馬鹿だったね。」
「痛いな!俺はこういうことしてみたかった!だからやってみただけなのに!」
「じゃあ、次からは電話やめてね?わかった?」
(さすが都。顔が、怖い…)
「わかったよ!やめます!」
パンッ
美波が手を叩いた。
「はい!そこまで!で、なんで呼び出したの?」
美波は、湯地に何かあったんじゃないかと思いながらも落ち着いていた。
「実は…」
「実は?」
「今日湯地に会ってきた!」
「!?」
「ワカトキさんに教えてもらって!」
「とりあえず、ワカトキって誰?」
「1群の人!強くてかっこよくてみんなの憧れなんだ!」
都はため息をついた。
美波はと言うと固まったまま動いていない様子。
「で、何をしに行ったの?」
「俺の顔と名前を覚えてもらうこと、それと俺達がしようとしていることを言いに行った!」
神無はヘヘッと笑った。
「湯地と顔見知りになれば安心だね!ありがと!」
美波がやっと口を動かした。
「礼なんていらない!なんだかあいつ、俺の友達になれそうだな!いつか俺と喜里川と湯地で遊べたらいい!」
「うん。湯地と友達になってほしい。頼れる人がいるって大事だから!」
ニコッと笑った美波。
その優しい笑顔に神無の耳が赤くなった。
「時間ピッタリだな。」
「そうだな。」
冷たい空気が漂っているこの廃工場に廃絶はいた。
「そんなに暗い顔をするなよ。」
「俺はまだ忘れてない。あの時のことを。」
「もう、終わったことだ。どうでもいいだろ。」
ギロッ
廃絶は睨んだ。
「俺はどうでもいいなんて思ってない…どうでもいいなんて…」
「あー。怖い怖い。俺はお前を助けたんだ。わかってるよな?」
「あれは助けたなんて言わない。地獄に落としたんだ。」
「もう時間だ。そこにいる奴隷をやるよ。じゃあな。」
ギュッ
「おい待てよ、
廃絶は腕を掴んだ。
「あ?汚い手で、俺に触るな。」
睨んだその顔はあまりにも怖く、廃絶は手を離した。
「ごめん。」
不機嫌そうに帰っていく鳶田を見ながら、廃絶はため息をついた。
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