第19話 聞きたいこと

今、湯地はワカトキを待っている。

どうやらリーダーを連れてくるようだ。


(こんな所で1人で待つのはやっぱり怖いな。1人になるのがこんなに怖いなんてね。)


「お待たせ。」


ワカトキが何やら袋を持って帰ってきた。


「いえいえ、わざわざ連れてきてもらってすみません。」


湯地は頭を下げた。


「いいんだよ。湯地。」


そう言うと湯地の頭をくしゃくしゃ撫でた。


「もう仲良くなってんの?さすがだなワカトキ!」


そこには廃絶が立っていた。


(リーダーの廃絶!?こんなに近くで見てるなんて!)


「俺は狂乱リーダー、金城 廃絶だ。よろしくな。お前は?」


「俺は、麻宮 湯地です。よろしくお願いします。」


湯地は深く頭下げた。


(俺は、この人たちを潰さないと行けないのか…俺に出来るのか…)


「もう顔を上げていいぞ。」


「あっ。すみません。」


「緊張してるみたいだな湯地。俺と会った時とは大違いだな。」


そう言ってワカトキはゲラゲラ笑った。


「あの、ひとつ聞いてもいいですか?」


そう言うと湯地は廃絶の方を見た。


「何が聞きたい?」


湯地はゴクリと唾を飲み、1呼吸してから口を開けた。


「どうして奴隷を作ったんですか?廃絶くんもワカトキくんも奴隷を従えるような悪い人には見えなくて…」


湯地は廃絶の顔色を伺った。

特に変わった様子はなく、驚くことも無かったようだ。


「奴隷が居れば自分達は有利になるからかな。」


廃絶はどこか悲しそうな表情をした。


「そうなんですか。」


(奴隷が居るのには、もっと他に何か理由があるはずだ。)


そんな事を考えていると…


「そういえば、奴隷ってどうやって捕まえてきてるんだ?」


ワカトキが不思議そうな顔をしながら聞いている。


「それはナイショ!」


廃絶はそう言うと、口に人差し指を当てた。


「なんだよ!可愛いやつめ!」


そう言うと廃絶の頭をくしゃくしゃ撫で、ニコニコ笑った。


「まぁ、狂乱に入ったからにはしっかり戦ってもらうからな!とりあえず4郡に入ってもらう!」


ワカトキの腕を離しながら、言葉を発する廃絶。

ようやく腕を離したかと思えば、なにかに気づいたようでもう一度口を開く。


「そういえばこの後、目の下にバツ印書くからテキトーにそこら辺で待っとけよ。」


「えっ…」


その言葉に驚く湯地を後ろに、廃絶は去っていった。

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