第17話 湯地VS

「それでは1体1の奴隷決闘を行う!準備はいいかぁ!」


「おー!!」


奴隷達の声が大きく響き渡った。


開始の合図とともに次々に決闘が始まる。

顔が酷く腫れている人、立ち上がることが出来ない人などが出てきていて、他の奴隷達は身震いしていた。


そんな中ついに湯地の番がやってきた。


「お前の番だ。前に出ろよ。」


そう言われ、誰かに背中を強く押された。

振り返ろうとするも対戦相手がこちらに迫ってきていてそんな余裕もなかった。


「おっと。まだ合図もしてないのに手を出そうなんてやる気のある奴だな。楽しませてくれよ。」


(合図無しで戦うことを止めないのかこの人達は…)


そんなことを思っていると、相手は既に目の前に来ていた。


ボコッ


湯地は早くも顔に一撃を受けてしまった。


「痛てぇ。」


ジンジンと顔に痛みが走る中、今はこの戦いだけに集中しようと相手を見る。


「やっと、僕の事ちゃんと見てくれたね。」


相手は子供のようにニコニコ笑いながら湯地を見つめている。


「いきなりすぎて顔が見れなかったんだ。ごめんな。」


「…」


「黙ってどうしたんだ?」


「僕は土壁つちへき夜恵やえ。夜恵って呼んで。お兄さんは?」


「俺は麻宮 湯地だ。」


夜恵はニコニコしながら湯地に近づいた。


「麻宮 湯地か。じゃあ、まみやんって呼ぶね。お兄さん。」


「いい…あだ名だね…」


苦笑いをしながら夜恵に警戒心を寄せる。


「さて、まみやん。僕はこう見えて結構強いってこと、さっきの受けてみてわかったでしょ?」


「そうだね。夜恵は強いよ。」


「そう、僕は強い。だから、まみやんはここで負けるの。だから先に謝っておく。強くてごめんねって。」


夜恵の顔はさっきと変わらずニコニコしていた。

それを聞いた湯地は、謝りの気持ちを感じられず思わず笑ってしまった。


「ハッハッ!夜恵は面白いね!」


「でしょ。僕は強いし面白い人なんだよ。」


「夜恵…俺はここで勝たないといけないんだ。強くならなきゃ行けないんだ。だから、ここは勝たせてもらうよ。」


そう言うと湯地は夜恵に一瞬で迫った。


そして…


ガシッ


「!?」


「捕まえた。」


夜恵の肩を掴んだ湯地は思いっきり拳を握りありったけの力を込めて腹を殴った。


ゴフッ


「ごめんな。」


そう言いながら倒れた夜恵を見下ろした。


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