第16話 勝者、そして奴隷の叫び

「いいぞー!!やっちまえー!!」


そんな声が飛び交う中、神無と喜里川は戦っていた。


「フラついてるぞー神無ー。」


「ハハッ!そっちこそな!」


戦いは両者とも休むこと無く続いてた。


ゴフッ


神無の強烈なパンチを受けた喜里川は、その衝撃で3歩後ろに下がった。


そして


「もう、喜里川に負けっぱなしの俺じゃない!」


バシッ…バシッ


「いい蹴りだなー。俺の…負けだー。」


バタッ


「うぉー!!」


大きな歓声が上がった。


この戦いに心を動かされたのか、感動する人まで現れた。


「そっか…俺…勝ったのか…2群に上がれるのか…」


フラー


神無は力尽き倒れそうになった。


ガシッ


「良くやったな神無。お前は今日から2群に入れ。」


廃絶は神無を受け止め、笑顔でそう言った。


「お前達!今日から神無は2群に入る!そして喜里川も今まで同様、2群に居ることを認める!文句はねぇよな!」


「うぉー!!」


「これで群上がりを終わる!次は奴隷の番だ!」


この集会は奴隷参加の集会。

つまり奴隷同士の決闘も繰り広げられる。


「奴隷達にもわかりやすいようにルールを説明する。」


そう言うと緋色は淡々と話し出した。


「ルールは簡単。奴隷同士1対1で戦え。そして先に倒れた方の負けだ。」


「まじかよ。」


「僕達は死ぬのかな?」


そんな声が聞こえる中、また話し出した。


「言い忘れていたが、戦わない奴も、演技で倒れた奴も…俺達は認めないからな。そういう奴には本気で戦うまで何度でもやらせるからな。」


その冷たい鋭い声で奴隷達は一気に静まり返った。


「俺達から戦いを認められた奴は、正式に狂乱メンバーになって戦ってもらうからな。奴隷のままか、その上に行くかどっちがいいか考えろよ。」


シーンとした空気の中、廃絶は笑顔になってこう言った。


「奴隷でも楽しんでいいんだ。応援していいんだ。緊張することなんて何も無い。だから自由に戦えよ。これが俺だってみんなに魅せつけるように。」


奴隷達はこの言葉に心を打たれた。

自分達を魅せる場所があると、奴隷から開放される日が来ると。


「やるぞ!俺はー!」


湯地は声を出して自分を奮い立たせた。

ここで勝てば狂乱に入れるから。

そして自分の役目を達成させるから。

そんな思いを込めて叫んだのだ。

それに続き他の奴隷達もそれぞれ叫び色々な声が聞こえ、廃絶はもっと笑顔になった。

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